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「幸いです」の意味と使い方・「幸甚」「ありがたい」との違いは?現役ライターがサクッと解説

今回の記事では、手紙文やビジネスメールなどでよく用いられる「幸いです」の意味と使い方、また「幸甚」「ありがたい」などの類似した表現との違いについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「幸い(さいわい)です」の意味と使い方・「幸甚」「ありがたい」との違い

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「幸いです」は、手紙文やビジネスメールなどで主に相手に何かを依頼したりお願いしたりする時に使用する表現です。

よく目にする言葉ではありますが、この「幸いです」はどのような場面で用いることができるのか、ご存知でしょうか。

また、他に似たような表現をする言葉にはどのようなものがあり、「幸いです」とはどのような違いがあるのか、迷うことがあるかもしれませんね。

そこで、ここではこの言葉の意味と使い方と併せて、類似した表現との違いについて説明していきましょう。

「幸いです」の意味・使い方

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「幸い」は、「その人にとって望ましくありがたいこと」という意味を持つ言葉です。

たとえば、以下のように文書や手紙などを通じて相手に何かを依頼する場面において用いると、「(相手が)~してくれるとうれしいです」「~であれば幸せになります」という意を表すことができます。

「〇〇の件につきまして、ご教示いただければ幸いです」
「勝手ながら、この件について来週中に回答をいただけましたら幸いに存じます」
「○日までに発送していただけますと幸いでございます」
「○○について、ご意見をお寄せいただければ幸いです」
「心許りの品ですが、お納めくだされば幸いです」

また別の使い方としては、贈り物をしたり、利益を提供したりする場合に、「(自分が相手に対して行った行為が有益であれば)満足です」というニュアンスの文章においても用いることができます。

「~が○○様のお役に立ちましたら幸いです」
「~がご参考となりましたら幸いでございます」
「お気に召していただけますと幸いです」
「本日はお忙しい中をわざわざお越しいただきありがとうございます。存分に楽しんでいただけると幸いです」

なお、この語を用いる場合の文末は「幸いです」以外に「幸いでございます」「幸いに存じます」などの形で用いることができますが、相手によっては丁寧語である「です」「でございます」とするよりも、「思う、考える」の謙譲語である「存じます」(存ずる)を用いるほうが良いケースもあります。

シーンや相手との関係に応じて使い分けましょう。

「幸いです」の使い方で注意したいこと

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「幸いです」は、「そうしてくれると嬉しいです」という意味ですので、実際にそうするかしないかは相手しだいということになります。

必ず行ってもらいたい場合や急ぎの依頼の場合には「幸いです」は使わないようにしましょう。

その代わりに、「恐れ入りますがご連絡くださいますようお願いいたします」などと言い換えた方が無難です。

「幸いです」の類似表現

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次に、「幸いです」の類語にはどのようなものがあるのか、またそれらと「幸いです」との使い分け方について見ていきましょう。

「幸甚(こうじん)です」

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「幸甚」は「非常にありがたく、幸せに思うこと」という意味がある言葉です。

「幸甚です」「幸甚の至りに存じます」などの形で、「幸い(です)」と同じように用いることができますが、「幸いです」よりも丁寧な表現といえます。

改まった言い方ですので、ビジネスメールなどの書き言葉として目上の人への仕事依頼などに使いましょう。親しい間柄の人に対して使うと、よそよそしい印象を与えてしまいます。

また、あまり乱用すると言葉の重みがなくなってしまいますので、気を付けましょう。

「幸甚です」を使った例文は次の通りです。

「恐れ入りますが、至急お返事いただければ幸甚です」
「お引き受けいただければ幸甚に存じます」
「ささやかな会ではございますが、ご出席いただけましたら幸甚の至りに存じます」
「このような機会をいただきまして、幸甚の至りに存じます」

「ありがたく存じます」

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「ありがたく存じます」という表現は、「ありがたい」と「存ずる」を組み合わせた言い方です。

「ありがたい」には、「好ましい状態や人の好意などに出会って、めったにないことと感謝したい、喜びたい気持ちである」といった意味があり、「相手からすでに受けた好意に対して喜ばしく思っていることや感謝の気持ち」を表すことができます。

つまり、一見似ているようではあっても、これは何かを相手に依頼する時に用いる「幸いです」「幸甚です」とはニュアンスが異なる言葉です。

「自分の依頼に相手が何かをしてくれるとありがたい」ということではなく、「相手が何かをしてくれたことに対して感謝の気持ちを表す」ものとなります。

ビジネスのシーンでよく目にする言葉ですが、結婚式のスピーチなどでも使うことができる言い方です。

なお、この言葉は、たとえば「ありがたく存じます」(ありがたく思います)という形で、以下のような使い方をすることができます。

「親切なお心遣いありがたく存じます」
「ご配慮を賜ったことをありがたく思います」
「本日は貴重なお時間を割いていただきまして、誠にありがたく存じます」
「平素よりのご厚情を賜り、誠にありがたく存じます」

「助かります」

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「助かります」は、「相手の助力に対してありがたい、嬉しい」という意味の言葉です。「幸いです」よりもカジュアルな言い方になります。

「ます」がついているので敬語表現ではありますが、「助かる」は労いの言葉ですので、同僚や目下の人にしか使えません。主従関係を表すような表現で、目上の人に使うと失礼になりますので、注意してください。

「助かります」は次のように使います。

「ありがとうございます。おかげで作業が早く済んで助かりました」
「この文書を送っていただけると助かります」
「私の留守中に荷物を受け取っていただけると助かります」
「ありがとうございます。家まで送ってくださって助かりました」

「痛み入ります」

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「痛み入ります」は、相手がしてくれたことに対して「自分にはもったいない限りです」という、謙遜する気持ちを含んだ感謝の言葉です。

「心が痛くなるほど申し訳ない」ことを表しますが、謝罪の表現ではありません。目上の人にはもちろん、年配者に対して使うと感心されるかもしれませんね。

例文は次の通りです。

「この度は急な申し出にも関わらずご快諾くださいましてありがとうございます。お心遣い痛み入ります」
「身に余るお褒めの言葉をいただき、痛み入ります」
「入院中はわざわざお見舞いまでいただきまして誠に痛み入ります」
「拝啓 〇〇の候、貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配痛み入ります」

シーンにふさわしい言葉を選ぼう

以上、「幸いです」の意味と使い方、類似表現についてまとめました。

この言葉は何かを相手に依頼するとき、お願いするときに用いますが、「~してもらえるとありがたい」ということを表すため、ストレートに「~してください」と言うよりも相手に柔らかい印象を与えることができます。

また相手が目上の人となる場合においても、文末に謙譲語である「存じます」、または「幸甚です」といった語を用いるなどして使い分けるようにすると、より適切な使い方をすることができるでしょう。

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konomianko