用語

「万障お繰り合わせの上」とは?意味と使い方・言い換え表現は?現役ライターがサクッと解説

「万障お繰り合わせの上」(読み方:「ばんしょうおくりあわせのうえ」)は、「万障お繰り合わせの上ご出席くださいますようお願い申し上げます」といった形でよく使われています。

何かの会合などの案内文においてよく使用される表現ですが、具体的にはどのような使い方をするのか、また同じ意味のことを他の表現を使って記したい場合にはどのような言い方をすることができるのか、中には疑問を抱くこともあるかもしれません。

そこで今回は、「万障お繰り合わせの上」の意味と使い方、言い換え表現などについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「万障お繰り合わせの上」の意味と使い方・例文・言い換え表現

image by iStockphoto

それでは、以下に「万障お繰り合わせの上」の意味と使い方、言い換え表現などについて説明します。

「万障お繰り合わせの上」の意味

image by iStockphoto

まず、「万障お繰り合わせ(ばんしょうおくりあわせのうえ)」の「万障」「繰り合わせ」には、それぞれ以下のような意味があります。

いろいろのさしさわり。あらゆる差し支え。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「万障」

時間などをやりくりして都合をつけること。

出典:精選版 日本国語大辞典(株式会社 小学館)「繰り合わせる」

つまり、「万障お繰り合わせ」とは、「都合の悪い事情や時間をやり繰りすること」ことを表し、「万障お繰り合わせの上」で「いろいろと差し障りや障害もあるでしょうが、そこを何とか都合がつくように調整して(出席してください)(参加してください)」という意味の表現になります。

「万障お繰り合わせの上」の使い方・例文

image by iStockphoto

次に、「万障」「繰り合わせ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

これらの言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「会員研修会を下記の通り開催いたします。会員各位におかれましては万障お繰り合わせの上ぜひご出席くださいますようお願い申し上げます」
「定例株主総会を下記の日程にて開催いたします。何とぞ万障繰り合わせの上ご出席くださいますようお願い申し上げます」
「このたび役員懇親会を開催する運びとなりました。つきましては、ご多用中恐縮ではございますが、 万障お繰り合わせの上ご出席くださいますようお願い申し上げます」
「下記の通り○年度卒業生の同窓会を開催いたします。皆様には万障お繰り合わせの上ご出席いただきますようお願い申し上げます」

「万障お繰り合わせの上」は「不都合や制約をやり繰りして都合を付ける」ことをいう表現です。

主に「万障お繰り合わせの上ご出席くださいますようお願い致します」といった形で使用して、「いかなる制約があっても何とか都合を付けて出席してください」ということを表します。

これは、たとえば対象者全員にほぼ強制的に出席を要する会合や催し物などの招待状や案内状の文面において使用することができる定型句です。

ただし、言葉の意味から「都合を付けて必ず出席してください」というような強い表現となるため、対象者全員の参加を促す必要がある文面以外では使わないほうが良い表現となります。

また、出席することが決まっていても、目上の人には使わない方が無難でしょう。「目下の者の予定に自分が都合をつけて出席しないといけないのか」と不快に思う人も中にはいるからです。

返事はどうすればいいの?

image by iStockphoto

「万障お繰り合わせの上」の言葉には強制的なニュアンスを含みますが、実際のところは定型句として使われており、必ずしも出席(参加)しなければならないわけではない場合がほとんどです。

ですから、出席する場合には「出席させていただきます」、欠席する場合でも「都合がつかないため、欠席させていただきます」というような返事で問題ありません。

「万障お繰り合わせの上」 の類語

image by iStockphoto

では、「万障お繰り合わせの上」に似た言葉にはどのようなものがあるのでしょうか。

「万難を排して」

image by iStockphoto

「万難を排して(ばんなんをはいして)」は、「あらゆる困難を乗り越えて、何としてでも」という意味を表す表現です。

「万難」は「あらゆる苦しみ、多くの困難」のこと、「排して」は「しりぞける、おしのける」の意味を表します。

「万難を排して」の使い方は、次の通りです。

(1)「ご多用中恐れ入りますが、万難を排してご参加くださいますようお願いいたします」
(2)「ご多用中とは存じますが、万難を排してご出席賜りますようお願い申し上げます]
(3)「めったにない機会ですから、万難を排して馳せ参じます」
(4)「師匠直々のお誘いとあらば、万難を排して参ります」
(5)「ようやく手に入れたこの仕事、万難を排して遂行します」
(6)「事件解決のため、万難を排して捜査に取り組みます」
(7)「このために今日まで頑張ってきたので、万難を排して成し遂げます」

「万障お繰り合わせの上ご参加ください」と同じ使い方をするためには、(1)や(2)のように「万難を排してご参加ください」などとします。

しかし、「万障お繰り合わせの上」と同様に「なにがなんでも参加してください」という強制的なニュアンスを含む言い方ですので、使うときには注意が必要です。

(3)や(4)は、もともとは戦国時代の武将などが使っていた表現で、現代で普通に使われるようなものではありません。ただ、わざとユーモアのある言い方として親しい間柄で使うことはあります。

(5)(6)(7)の表現は、難しいのは承知の上で「何が何でもやり遂げる」という強い意思表示をする言い方です。警察が「万難を排して捜査に取り組みます」と使うように、「命に代えてでも助け出す」というくらいの強い意味を持ちます。

「万難を排して」は、相手に何かをお願いするよりも、自分の強い意志を表すために使うことの方が多いようです。

「万障お繰り合わせの上」の言い換え表現

image by iStockphoto

次に、「万障お繰り合わせの上」の言い換え表現について見ていきましょう。

他の言い方で同じような内容のことを伝える場合には、以下のような表現を使うことができます。

(1)「ご多用のところ恐縮ではございますが、皆様におかれましてはぜひご出席いただきたくお願い申し上げます。なお、もしご都合が付かない場合には、○日までにお知らせいただけましたら幸いです。」
(2)「ご多用かとは存じますが、ぜひ奮ってご参加ください」
(3)「ご多用の折とは存じますが、ぜひとも皆様お誘い合わせの上でお越しください」
(4)「多くの皆様のご参加をお待ちしております」

「ぜひ」

image by iStockphoto

そこまで強制的ではないけれど出席してほしいという程度であれば、(1)(2)(3)のように「(ぜひ)ご出席いただきたくお願い申し上げます」という表現が適切です。

「ぜひ」は、「どんな事情があろうとも、困難を乗り越えて実行しよう、実現したいという強い意志や要望」を表します。

なお、「是が非でも」になると「どんなことがあっても」「何があっても」という意味になりますから、「ぜひ」よりも強制力のある表現です。

「奮って」

image by iStockphoto

「奮って(ふるって)」は、「自ら進んで」「積極的に」という意味を持つ言葉で、(2)のような使い方をします。

この場合も強制的なニュアンスは含まれず、参加するかしないかは相手に任せるという表現です。

「お待ちしております」

image by iStockphoto

(4)のように「お待ちしております」という表現を使えば、強制力はなく、受け身のニュアンスになります。

なお、「ご多用」は「ご多忙」と言い換えることもできますが、「忙しい」という字は「心を亡くす」と書きます。そのため、忌み言葉として受け取り、嫌がられる場合もありますので、使用は避ける方が無難です。

使う相手と場面には注意して

以上、「万障お繰り合わせの上」の意味と使い方、言い換え表現などについて説明しました。

この言葉は、案内状などの文面において「万障お繰り合わせの上ご出席くださいますようお願いいたします」といった形で使い、「都合が悪くても何とかして出席してください」ということを表します。

つまり、ほぼ強制的な意味合いとなるため、それ相応の場面に限って使用する表現です。

もしそこまで強制的な参加を促す必要がないのであれば「ぜひご出席くださいますようお願いいたします」、また参加者の意思に任せるのであれば「ご参加をお待ちしています」といった言い方をすると適当な表現となります。

Share:
konomianko