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「さわり」の意味と使い方・例文・言い換え表現は?現役ライターがサクッと解説

「さわり」(漢字:「触り」)という言葉は、「曲のさわり」「物語のさわり部分」などの形でよく使われています。

音楽の中で一番覚えやすいメロディについていう時に使う言葉ですが、具体的にはどのような使い方をするのか、また同じ意味のことを他の言葉を使って言い換えたい時にはどのような表現をすることができるのか、中には疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「さわり」の意味と使い方、言い換え表現などについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきましょう。

「さわり」の意味と使い方・例文・言い換え表現

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いきなりですが問題です。

「あの話のさわりの部分って、どんなのだっけ?」
「その歌のさわりのところだけ歌ってみて」

と言われたとき、どのように答えるでしょうか?「話のさわり」とは、どの部分を意味する言葉でしょうか?

(1)話の要点のこと
(2)話の最初の部分のこと

正解は、後ほど説明しますね。

「さわり」の意味は?

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「さわり(触り)」の意味を広辞苑で調べると、次のように書いてあります。

(他の節に(ふし)にさわっている意)義太夫節の中に他の音曲の旋律を取り入れた箇所。曲中で目立つ箇所になる。

転じて、邦楽の各曲中の最大の聞かせ所。「くどき」の部分を指すことが多い。
さらに転じて、一般的に話や物語などの要点、または、最も興味を引く部分。


出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「触り」②

つまり、もともとは人形浄瑠璃の音楽である「義太夫節に他の楽曲の旋律を取り入れた部分」のことをいいますが、そこから転じて「邦楽の曲中における主要部分」「話や物語などの中で重要なところや最も興味を引く部分」のことをいうことばとなっています。

冒頭で出した問題の答えは、(1)の「話の要点のこと」でした。(2)の「話の最初の部分のこと」だと思っていた方が多いのではないでしょうか。

「さわり」は間違いやすい日本語

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『日本語、どうでしょう?~揺れる意味編: 辞書編集者を悩ませることばたち (ジャパンナレッジe文庫) 』は、元小学館辞典編集部編集長である神永曉さんの著書です。

その中でも触れられているように、この「さわり」は実に誤用されやすい言葉となっています。

文化庁が毎年発表する「国語に関する世論調査」でも、「さわり」を本来の意味とは異なる「話などの最初の部分のこと」という意味で使っている人が、常に半数以上を占めているのです。

なぜこれほどまでに誤用されているのでしょうか。

それは、「さわり(触り)」という言葉の響きから「表面だけちょっと触れる」のように捉えられ、そのことから話や歌などの最初の部分だと思ってしまう人が多くなってしまったようです。

「さわり」の使い方・例文

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次に、「さわり」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「この曲のタイトルは分からなくても、さわりの部分がCMなどでよく流れているから知っている人も多いはずだ」


「さまざまな名曲のさわりだけを集めたCDを買ってみたが、どこかで聞いたことのある有名なメロディばかりを効率的に聴くことができてなかなか良かった」


「アーティストのホームページで紹介されているプロモーション映像でこれから発売になる新曲のさわりを聴くことができる」


「速読で大事なのは本を効率的に読み進めながらさわりとなる部分を理解することだ」

「さわり」は、音楽の主要部分や本などの一番重要な部分についていう場合に、「曲のさわり」「話のさわり」などの形で使うことができます。

 

言い換え表現

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次に、「さわり」の言い換え表現について見ていきましょう。

他の言葉で同じような意味のことを言いたい時には、以下のような表現をすることができます。

(1)「彼はその本のポイントを簡潔にまとめ、自身がその本を読んだ感想とともに紹介した」
(≒「彼はその本の要点を簡潔にまとめ、自身がその本を読んだ感想とともに紹介した」)


(2)「タイトルは思い出せないが、曲のサビの部分だけなら覚えている」
(≒「タイトルは思い出せないが、曲の中心となる部分は覚えている」)


(3)「そのページでは演奏会の聞きどころについて紹介している」
(≒「そのページでは演奏会の中で聞く価値のある重要な部分について紹介している」)

「さわり」以外に、音楽や本などの重要な部分のことを言いたい場合には、上記のように「ポイント」「サビ」「聞きどころ」といった言葉を使って表現することが可能です。

(1)の「ポイント」は「ある事柄の要点」、

(2)の「サビ」は「その曲の中心となる部分、覚えやすい部分」、

(3)の「聞きどころ」は「ある物事の中で聞く価値のある部分」、

のことをいい、「さわり」と同じような使い方をすることができます。

その他の間違いやすい日本語

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「さわり」の他にも、誤用されやすい日本語はたくさんあります。その中からいくつか紹介しましょう。

「憮然」

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「憮然(ぶぜん)」という言葉は、「意外なことに驚いたり、失望・落胆してぼうっとすること」という意味を表します。

この「憮然」を、「腹を立てている様子」という意味で使うのは間違いです。文化庁の公式サイトによれば、憮然の「ぶ」という音が、文句を言うときの「ぶつぶつ」「ぶうぶう」を連想させることが誤用の原因の一つではないかと推測しています。

「姑息」

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「姑息(こそく)」という言葉は、「一時の間に合わせにすること」「その場しのぎ」という意味を持っています。「しばらく」を表す「姑」と「休む」を表す「息」からできた語です。

間違って「卑怯な」という意味で使っている人が多く、原因のひとつとしては、「こそく」という語感が「小癪(こしゃく)」と似ているからではないかと考えられています。

「役不足」

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「役不足」という言葉は、「俳優などがその役割に不満を持つこと」「力量に比べて役目が軽すぎること」の意味を持っています。

逆の意味の「力量に比べて役目が重すぎること」という意味で使うのは間違いで、その意味を表す正しい言葉は「力不足」です。

「役不足」を相手に対して使えば褒め言葉になりますが、その相手が「役不足」の意味を間違って覚えていたら、けなされたと勘違いしてしまいそうですね。

「敷居が高い」

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「敷居が高い」の正しい意味は、「相手に不義理や面目のないことをしてしまって、行きにくい」ということです。

この言葉は、若い世代を中心に「高級すぎて入りにくい、分不相応だ」と間違った捉え方をしている人が多い傾向にあります。

しかし、最近ではこの使い方も正しい意味として認められる風潮があるようです。

「破天荒」

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「破天荒(はてんこう)」は、「今まで人がなし得なかったことを初めて行うこと」を意味する言葉です。

かつて中国には「天荒」つまり「未開の荒れ地」と呼ばれる難しい試験があり、そこに初めて合格した人が現れたことで「天荒を破った」といわれました。

この「破天荒」を本来の意味とは違う「大胆な」「型破りな」の意味で使うのは間違いです。

「さわり」は重要な部分のことだと覚えよう

以上、「さわり」の意味と使い方、言い換え表現、その他間違いやすい日本語について説明しました。

「さわり」は「音楽や話の聞かせどころや要点」のことをいい、「曲のさわり」「物語のさわりの部分」などの形で使われています。

また、「さわり」以外の言葉で同じような内容のことを言いたい場合には、「ポイント」「要点」「サビ」「聞きどころ」というような言葉で、音楽や話などの重要な部分のことを表すことが可能です。

このようにさまざまな言葉で言い換えることができますので、「さわり」の正しい意味を知った上で、場面や状況に応じて使い分けるようにしましょう。

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konomianko