用語

「八方美人」の意味と使い方・例文・言い換え表現は?現役ライターがサクッと解説

「八方美人」という言葉は、「八方美人だから~だ」「八方美人主義」などの形でよく使われています。

「誰にでもいい顔をする人」を表す言葉ですが、具体的にはどのような使い方をするのか、また他の言葉で言い換えるにはどのような表現をすることができるのか、疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「八方美人」の意味と使い方、言い換え表現について、翻訳経験のある現役ライターの筆者が解説していきます。

「八方美人」の意味と使い方・例文・言い換え表現

image by iStockphoto

それでは、「八方美人」の意味と使い方、言い換え表現について説明していきましょう。

「八方美人」の意味は?

image by iStockphoto

まず、「八方美人」には以下の意味があります。

誰からもよく思われようと、如才なくふるまう人。

▼多く非難の意を込めて使う。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「八方美人」

「八方美人(はっぽうびじん)」の「八方」とは、全ての方角、すなわち東西南北・北東・北西・南東・南西のことです。

「八方美人」という言葉は、もともとは「どこから見ても欠点のない美人」という意味を持っていました。

それが転じて、今では「誰に対しても良い顔をしようとする人」、つまり「皆によく思われようとして手抜かりなく笑顔で愛想よく振る舞う人」のことを批判していう表現となっています。

「八方美人」の使い方・例文

image by iStockphoto

では、「八方美人」の使用例を見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように使うことができます。

「彼のような八方美人型の人は仕事の能力以上に協調性が重視される会社員に向いている」

「自分としては彼のような八方美人は好かないが、誰とでも卒なくやっていけるという意味ではきっと職場では重宝されているのだろう」

「あの人は控えめで礼儀をわきまえたしっかり者のように見えるが、実際はただの八方美人主義で目立つ行動はしないだけだ」

「彼は特段仕事ができるとはいえないが、八方美人型で人の機嫌を取るのが上手いから、どこの職場に行ってもうまくやって行けるだろう」

このように「八方美人」は、「人から悪く思われないように誰に対しても良い顔をする人」について言う場合に、「八方美人型」などの形で使うことができる表現です。

「美人」という言葉がつきますが、女性だけでなく男性に対しても使うことができます。ノーと言うことができない、いわゆる「イエスマン」のことですね。

人の顔色をうかがい、自分の意見を言うのが苦手だったり、本音で語り合える友人がいなかったりして、実は孤立しているというのも「八方美人」にはよくあることです。

言い換え表現

image by iStockphoto

次に、「八方美人」の言い換え表現について見ていきましょう。

「八方美人」以外の言葉を使って、「人から良く思われようと振る舞う人」「みんなにいい顔をする人」という意味のことを表したい場合には、「愛想がいい」「太鼓持ち」「腰巾着」といった言葉を使って、以下のような言い方をすることができます。

「愛想が良い」

image by iStockphoto

「愛想(あいそ)」とは、「人に接するときの態度」「応対の仕方」のことですから、「愛想が良い」は「人当たりが良い」という意味の言葉です。

「八方美人」とは違い、「愛想」は他人に良い印象を与える人についていう時に使うことができます。

例文は、次の通りです。

「彼は愛想が良いから、初対面の時からにこやかに話しかけてきてくれて親しみが持てた」

「太鼓持ち」

image by iStockphoto

「太鼓持ち(たいこもち)」とは、「人にへつらい、機嫌をとるのに懸命な人」のことをいいます。

もともとは、宴席などでその席を取り持つ職業のことを「太鼓持ち」といいましたが、今では「相手に気に入られようとして媚びる人のこと」を表す言葉となりました。

「飲み会で必死に部長の太鼓持ちをしている彼に対して周囲の目は冷ややかだった」のように使います。

「腰巾着」

image by iStockphoto

「腰巾着(こしぎんちゃく)」は「いつも目上の人のそばにまとわりついてご機嫌をとる人」のことを表す言葉です。

主に男性が腰に下げて持ち歩いていた巾着に由来していて、偉い人のそばを離れずごまをする人のことをいう時などに、次のように使います。

「彼のように上司の腰巾着に徹していつも人の威光に頼る人は、自分だったら信用できない」

「八面玲瓏」

image by iStockphoto

「八面玲瓏(はちめんれいろう)」とは、「誰とでも円満にうまく人付き合いできる人」「心にわだかまりがなく澄み切っているさま」のことを意味する言葉です。

「八面」は、あらゆる方面を表し、「玲瓏」は、宝石のように美しく輝くさまを表します。もともとは古代中国の詩に由来しているとも考えられており、「四方八方どこから見ても美しい」という意味でした。

つまり、「八面玲瓏」は一見「八方美人」と同じような印象を受けますが、表面的に人とうまく付き合っているだけの「八方美人」と違って、「八面玲瓏」は実際に人間関係がうまくいっているプラスイメージを持つ表現となっています。

もし、人から「あなたは八面玲瓏ですね」と言われたら、それは褒め言葉です。

必要と感じた場合には、相手に対してしっかり意見を言うことができるのも「八面玲瓏」の特徴と言えるでしょう。

「右顧左眄」

image by iStockphoto

「右顧左眄(うこさべん)」とは、「周りの状況ばかり気にして、決断できず迷うこと」を表す言葉です。

「顧」は「振り返って見ること」、「眄」は「横目で見ること」の意味で、右を見たり左を見たりすることから「右顧左眄」の言葉が生まれました。

「左顧右眄」という形で中国の古典に出てきた言葉が語源となっていて、もともとはこれも良い意味で使われていたようです。

それが今となっては、「右顧左眄してはっきり評価を下せない人」のように批判的な意味合いを持つ言葉となってしまいました。

「無節操」

image by iStockphoto

「無節操(むせっそう)」は、「節操のないこと」つまり「一貫した態度をとらないこと」という意味の言葉です。

「無節操な人」「無節操な行動」のような使い方をします。

「巧言令色」

image by iStockphoto

「巧言令色(こうげんれいしょく)」は、「言葉を飾り、表情をとりつくろうこと」「こびへつらうこと」を表す言葉です。

「巧言」は「口先巧みに言葉をあやつること」、「令色」は「人にへつらうような顔色のこと」を意味します。

論語の「学而」の中に出てくる「巧言令色鮮し仁(こうげんれいしょくすくなしじん)」という言葉がもとになっていて、これは「巧みな言葉を使って表情をとりつくろっている人は、かえって誠実な人が少なく仁の心が欠けている」という意味です。

「阿諛迎合」

image by iStockphoto

「阿諛迎合(あゆげいごう)」は、「相手に気に入られようとして、媚びて機嫌を取ること」を意味する言葉です。

「阿諛」は「相手の気に入ることをして機嫌をとること」、「迎合」は「相手に気に入られるように調子を合わせること」を表します。

「彼は決して阿諛迎合しない」のような使い方をする言葉です。

「八方美人」を人に対して使うときには注意が必要

以上、「八方美人」の意味と使い方、言い換え表現についてまとめました。

「八方美人」は「誰からも悪く思われないように卒なく愛想良く振る舞う人」を言い表す言葉で、「八方美人型の人」のような形で批判的な意味を込めて使われる表現です。

また、「人当たりの良い人」や「偉い人に媚びる人」について言いたい時には、「八方美人」とはニュアンスが異なりますが、「愛想が良い」「太鼓持ち」「腰巾着」などの言葉を使って似たような表現をすることができます。

「八方美人」とその他の類義語の中には、「人当たりの良い人」について褒める意味で使われるものもありますが、批判的な使い方をする言葉もありますので、対象者や話し相手、場面に応じて使い分けられるように注意が必要です。

Share:
konomianko