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「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」の意味と使い方・例文・同義語は?現役ライターがサクッと解説

「慇懃無礼」(読み方:「いんぎんぶれい」)という言葉は、「慇懃無礼な態度」などの形でよく用いられています。

この言葉は失礼な態度を表す語です。耳にすると意味を感じ取ることはできるかもしれませんが、自信を持って「自分は適切に使うことができている」ということができるほど、一般的な言葉ではないのではないでしょうか。
具体的にどのようなことを意味していて、どのような使い方をすることができるのか、疑問に思う方もいるかもしれません。

ここでは「慇懃無礼」の意味と使い方、また同義語にあたる言葉について説明していきます。

「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」の意味と使い方

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それでは、以下に「慇懃無礼」の意味と使い方、また類義語について説明します。

「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」の意味とは?

「慇懃無礼」には、以下の意味があります。

言葉や態度が丁寧過ぎてかえって無礼になること

表面はきわめて丁寧であるが、実は甚だ尊大であること

出典:精選版 日本国語大辞典

 

表面の態度は丁寧だが、心の中では相手を軽くみている・こと(さま) 

出典:大辞林 第三版

「慇懃」という語だけでみると「丁寧で礼儀正しいこと」を表し良い意味で用いられる言葉です。

しかし、「礼儀を欠く」という意味を持つ「無礼」を組み合わせた「慇懃無礼」は「行き過ぎた丁寧さがかえって失礼な印象を与えること」や「表向きは丁寧に見えても実際には相手を見下した態度」を表す四字熟語。

つまり、相手の態度や言動がいくら丁寧であっても、そこから良い印象を受けない、もしくはむしろ不快感や腹立たしさを覚えるようなケースに用いる語となります。

「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」の使い方・例文

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

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「その店の慇懃無礼な対応に不快感を覚える」

「あのホテルの接客は丁寧だと評判だが実は慇懃無礼だ」

「マニュアル通りの受け答えしかしない職員の慇懃無礼な応対に腹が立った」

「いくら高級店だからといっても、スタッフの慇懃無礼さは腹に据えかねるものがある」

「高級料理店で慇懃無礼に入店を断られる」

「このサービスのコールセンターは話だけは丁寧に聞いているが、こちらが言った質問や要望には何一つ満足な回答が返ってこない。慇懃無礼とはこのことか」

「あのホテルの対応は確かに丁寧だが、機転が利かないし心が込もっていないように感じる。いかにも慇懃無礼な態度だ」

「その店には初めて行ったが、接客の慇懃無礼さに嫌悪感を抱いた」

「丁寧な言動であってもかえって悪い印象を与える」とはどういうこと?

「慇懃無礼」の持つ意味、「丁寧な言動であってもかえって悪い印象を与える

ビジネスシーンでは、失礼のないように敬語を使い、マナーを守った振る舞いが重要視されます。

この言葉が指し示す丁寧さが仇となるケースというのはどういうシチュエーションに当たるのか、具体的に例をあげてみましょう。

1.丁寧語が誤って使われていない場合

敬語を使うことは礼を尽くす意味で大切なことです。しかし、丁寧さを意識するあまり誤った使い方をしてしまうと、違和感と不快感を与えてしまうことがあります。また、礼儀を知らない人という印象を与えてしまうこともあるでしょう。

2.過度な敬語を使っている場合

また、使い方を理解していないということに付随して、決まり文句のように敬語を使ってしまうと、感情が伴わない言葉、意味のない言葉として受け取られてしまうこともあるでしょう。敬語を理解するからこそ、過度に使うことを防ぐことができます。

3.丁寧な対応を装っているが、内心は見下していると感じられている場合

このケースは心の中が透けて見えている状況と言えるでしょう。よく語られるケースとしては、高級レストランやDCショップなど店員の対応。入店するに見合った顧客か品定めしていると感じとられた時、「あの店員の態度は慇懃無礼で、なんだか気分が悪かった」と感想を与えることもあるようです。それはお店の品格を下げてしまう場合もあるでしょう。敢えて、お店側が慇懃無礼な対応をすることで【ひやかし】のような来客をセーブする狙いもあるようです。

ともあれ、慇懃無礼は日常の中ではビジネスシーンに登場しやすい言葉と言えます。仕事において良い印象を与えられるように、「慇懃無礼」な態度には気をつけていきましょう。

「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」の同義語

次に、「慇懃無礼」と同じ意味を表す語について見ていきます。

 

「慇懃尾籠」(いんぎんびろう)

「慇懃無礼」と同じ意味を持つ四字熟語には、「慇懃尾籠」。「尾籠(びろう)」には「礼を失すること、無作法」という意味があり、「慇懃無礼」と同じ意味を表す四字熟語となります。

「手塩にかけて育てたつもりの部下が、異動した途端、あの態度は慇懃尾籠で言葉を失った」

「気位の高いことで知られる遠縁にあたる女性は、再会するや否や、慇懃尾籠な態度で私たちをがっかりさせた」

「礼も過ぎれば無礼になる」

四字熟語である「慇懃無礼」を言い換えるなら、「礼も過ぎれば無礼になる」や「礼過ぐれば諂いとなる」がよく用いられます。

意味はこちらの方がわかりやすいのではないでしょうか。同義語として頭に入れておきましょう。

加えて、「慇懃無礼」の場合は内心見下しているという意味合いもご紹介しましたが、「礼も過ぎれば無礼になる」や「礼過ぐれば諂いとなる」の場合は、「媚び諂っている」と思われて相手に不快な印象を与えるという意味あいも強く持っています。ヨイショが過ぎ、不快を与えた時はこちらの表現を用いた方が適切でしょう。

「昨今、お太鼓持ちは”礼過ぐれば諂いとなる”と思われていたが、あの芸人さんはそこから生まれる笑いがセンスがあって面白い」

「初めてのクレーム対応で緊張してしまい、”礼も過ぎれば無礼になる”とさらに状況を悪化させてしまった」

「慇懃無礼」は人間関係において要注意

以上、「慇懃無礼」の意味や使い方についてまとめました。

この四字熟語は、一見して丁寧だけれど実は相手を見下げている態度や、丁寧過ぎる態度が逆に失礼な印象を与えることなどに用います。

そうした矛盾した状況は、意外とよく発生してしまうもので、皆さんも心当たりがあるのではないでしょうか。

複雑な心象や状況でも、この言葉を使うとニュアンスを伝えることが可能になります。

万が一、仕事上で自分の対応についてこの言葉が言われてしまった場合は、改善に努めていきましょう。

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