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「所存」の意味や英訳・使い方・「次第」との違いまとめ

「所存」(読み方:「しょぞん」)という言葉は、「~する所存です」「~して参る所存でございます」などの形で、主にビジネス関連のメールや文書、手紙などでよく用いられています。

この言葉はさまざまな場面で用いられますが、具体的な意味や使い方をしっかりと理解できている人は少ないかもしれません。

そこで、ここでは「所存」の基本的な意味や英訳・使い方、また似た使い方をする「次第」という言葉と比較してそれぞれの違いについて「誰にでも分かる言葉で伝える」を心掛ける現役ライターが分かりやすく解説していきます。

「所存」の意味や英訳・使い方まとめ

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それでは、以下に「所存」の意味や英訳、使い方、また「次第」との違いを説明します。

#1 「所存」の意味は?

まず、「所存」の意味を見ていきましょう。「所存」には以下のような意味があります。

心に思うところ。考え。おもわく。

出典:精選版 日本国語大辞典「所存」

つまり「心に思っていること」を表している言葉となります。

本来この言葉は、「存ずる所」を漢文的に表現したものです。「存ずる」とは、「心に思う」を謙譲語で表した言葉であるため、「所存」は「心に思うところです」という意味になります。

このため、日常的な会話で用いられることはあまりなく、ビジネスシーンにおいて目上の人に対して用いられる言葉です。

 

#2 「所存」の英訳は?

次に「所存」を英語で表現すると、どのようになるのか見てみましょう。

●intend to~
●will

「intend to~」は、「~するつもりである」を意味し、「will」は、「I will~」などのように用いられ、「強い決意を表す」時に用いられる表現です。英語には「敬語」という概念がありませんが、状況や文脈からそのニュアンスを読み取ることができます。また、「敬語」に象徴されるように、年配の人や目上の人を敬う文化は、細やかで周りに気を配る日本人の特徴ですね。

#3 「所存」の使い方・例文

次に、「所存」の使い方について、例文を交えて見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「もしご都合がよろしければ、来週にでも参上する所存です」
「近日中にご挨拶に伺う所存でございます」
「これからもお客様にご満足いただけるサービスを提供するべく努めて参る所存でございます」
「当社はこれからも新規事業の開拓や新市場への参入など、より一層の発展を目指し邁進して参る所存でございますので、今後ともご指導・ご鞭撻のほど何とぞよろしくお願い申し上げます」

ちなみに、上記のような文章をもう少し柔らかい表現に言い換えたいという場合には、以下のような言い方をすることができます。

「もしご都合がよろしければ、来週にでもお伺いしようと考えています」
「近いうちにご挨拶に伺うつもりでおります」

「所存」は、「心に思うこと」を表す言葉であり、「~する所存です」などのように表現することができます。一般的には、ビジネスシーンなどにおいて目上の人に対して使う謙譲語です。

「所存」をもう少し柔らかい表現で表すと、「~しようと考えています」「~のつもりでおります」などのように言い換えることができます。

#4 「所存」の間違った使い方

次に、「所存」の間違った使い方を見てみましょう。この言葉は、敬語の中でも謙譲語にあたり、「自分がへりくだり相手を立てる」という表現です。そのため、ビジネスシーンなどにおいて、目上の人や取引先などに対し用いられる表現となります。

しかし、この謙譲語は間違った使い方をされることも多く、「所存」においても例外ではありません。以下の例文を見ながら、どこが間違っているのか説明します。

「私は、海外留学をしていた経験を活かし、海外実習生の窓口になれたらと思う所存です」
「私共といたしましても、より良いサービスを皆様に提供できるよう、日々努めて参りたいと考える所存でございます」

以上の例文のどこが間違っているか、お分かりでしょうか?この例文は2つとも、「所存」の前に、「思う・考える」がついています。「所存」はこの言葉自体に「思う・考える」という意味が含まれているため、上記の表現は2回同じことを言っていることになるのです。

「所存」と「次第」の違いは?

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次に、「所存」と似た使い方をすることがある「次第」という言葉について見ていきましょう。まず「次第」の意味は以下のようになります。

 

#5 「次第」

「次第」には複数の意味がありますが、その中でも「~という次第でございます」といったように「所存」と似た使い方をする意味としては、「物事の事情や由来、理由、成り行き、経過、いきさつ」などです。

この意味における「次第」の使い方を見てみると、以下のようになります。

「実は数日前から夏風邪で子供が寝込んでしまい、今も半ばつきっきりの状態で看病しています。そのような次第ですから、残念ですが明日の食事会には参加できそうもありません」
「年度末に向けて、業務量が大幅に増えることを見越し、人員を増員した次第です」

つまり、「次第」は「何らかの事の成り行きや事情」を表しそれを説明する場合などに用いますが、「所存」は「思っていることや考え」を表しそれを改まった文章で述べる場合に用いるといった違いがあります。

ちなみに、就職活動における面接や履歴書などにおいて、志望動機などを述べる際には、「次第」を用いて「~の企業方針に魅力を感じ、御社に志望した次第です」などと表現するのが一般的です。
またアピールポイントとして、自分の意気込みなどを述べる際には、「所存」を用い、「~することを生かして、~したていく所存です」などのように用いることができます。これらの言葉は、同じようなシーンにおいて用いられる言葉ですが、意味が異なるため、使う際には注意が必要です。

敬語は、使い方や意味が難しいものも多くありますが、きちんと使いこなせていると相手に与える印象が良くなりますね。

「所存」は「思っていることや考え」を表した謙譲語であり、「次第」は「事の成り行きや事情」を表す言葉です。
就職活動などの場面においては、志望動機など自分の意見などを述べる時に「次第」、アピールポイントとして決意表明などを述べる時には「所存」を用います。

同じような状況で使われる言葉ですが、意味が異なるため、使い分けに注意しましょう。

 

「所存」を使いこなそう

以上、「所存」の意味と使い方、「次第」との違いについてまとめました。

この言葉は、手紙の文章、またビジネスにおける挨拶文や謝罪文、お礼状など、改まった表現を用いる場面において「思うことを表す」場合に用います。

改まった言い方とはいってもさまざまな場面で使う表現となるため、「次第」などの類似した使い方をする表現との使い分け方や、場面ごとの言い回しを知っておくようにすると役立つでしょう。

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tanpopo409