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「忌憚」の意味と使い方・例文・「率直」との違いは?現役ライターがサクッと解説

「忌憚」(読み方:「きたん」)という言葉は、「忌憚のない意見」などの形でよく使われています。

誰かに本心からの意見を述べてもらいたい時に使う言葉ですが、具体的にはどのような使い方をするのか、また似た意味を持つ「率直」とはどのような違いがあるのか、疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「率直」の意味と使い方、「率直」との違いなどについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「忌憚」の意味と使い方・例文・「率直」との違い

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それでは、「忌憚」の意味と使い方、「率直」との違いなどについて説明していきましょう。

「忌憚」の意味は?

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まず、「忌憚」には以下の意味があります。

いみはばかること。遠慮。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「忌憚」

つまり「忌憚」とは、「差し障りがあるとして慎むことや遠慮すること」を表します。

語源は「憚ることを忌み嫌う」です。「忌」には「嫌う」、「憚」には「遠慮する」という意味があります。

ビジネスシーンでは、「遠慮なく」などよりも少しかしこまった表現としてよく使われる言葉です。

「忌憚」の使い方・例文

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次に、「忌憚」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「今後のサービス向上に役立てるべく、お客様の声を募集しております。サービス・製品への不満点や改善要望など何でも結構でございますので、ぜひ忌憚のないご意見をお願いいたします」

「すでに長年の習慣となっていて誰も言い出す人がいないようですが、忌憚なくいえば、週に1回の定例会議は生産性がなく時間の無駄であるため廃止すべきです」

「友人とはいっても皆建前を言うばかりで、彼のように忌憚なく意見を言ってくれる人はなかなかいない」

「忌憚」は、上記のように「相手から遠慮なく本音を言ってもらいたいとき」や「自分が遠慮せずに意見を言うとき」に使う言葉です。

その際には、「忌憚のない意見」「忌憚なく~する」などのように、後に「~ない」という否定の言葉を伴います。

「奇譚」は別の言葉

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同じ読み方をするものに「奇譚」という言葉がありますが、こちらは「珍しい話」「不思議な話」という、まったく違った意味を持つ言葉です。

「率直」との違い

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次に、似た意味を持つ「率直」との違いについて見ていきましょう。

まず、「率直」には以下の意味があります。

飾ったり隠したりするところがなく、ありのままであること。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「率直」

そして、この語と「忌憚なく」の使い方を比較すると以下のようになります。

「率直」:「率直に言って、社員旅行なんて行きたくもないし時間とお金の無駄以外の何物でもないと思う」
(≒「正直に言って、社員旅行なんて行きたくもないし時間とお金の無駄以外の何物でもないと思う」)

「忌憚なく」:「忌憚なく言うと、社員旅行に参加したいと思っている社員は少なく、むしろ時間の無駄で行きたくないと考えている人がほとんどです。実施する意味がないので廃止を考えるべきではないでしょうか」
(≒「遠慮なく申し上げると、社員旅行に参加したいと思っている社員は少なく、むしろ時間の無駄で行きたくないと考えている人がほとんどです。実施する意味がないので廃止を考えるべきではないでしょうか」)

つまり、

「率直」は「取り繕ったり何かを隠したりすることなくありのままであること」(つまり、自分をよく見せようとして表面を飾ろうとしたところがないこと)、

「忌憚なく」は「遠慮せず、建前なしで言うこと」(つまり、「これをいうと支障があるのでは」などと考えて気を使うことなくざっくばらんな物言いをすること)

を表すという違いがあります。

「忌憚なく」の類義語

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では、「忌憚なく」の類語をいくつか紹介していきましょう。

「ご遠慮なく」

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「ご遠慮なく」の「遠慮」には、次のような意味があります。

人に対して、言葉や行動を慎み控えること。

辞退すること。また、ある場所から引き下がること。

出典:小学館「遠慮」①②

「遠慮」は、「人に対して控えめにふるまうこと」「辞退すること」を表し、「遠慮しないでください」を丁寧に表現したのが「ご遠慮なく」です。

目上の立場の人に対して、気兼ねなく何かをしてもらいたいときに、次のように使います。

「私どもでお役に立てることがございましたら、どうぞご遠慮なくお申し付けください」

「製品についてご不明な点などがございまいしたら、ご遠慮なくお問合せくださいませ」

「どうぞご遠慮なく、お寛ぎください」

「お気兼ねなく」

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「お気兼ねなく」の「気兼ね」が持つ意味は、次の通りです。

他人の思わくなどに気をつかうこと。遠慮。

出典:小学館「気兼ね」

「気兼ね」は「人に対して気をつかうこと」を意味し、「気をつかわないでください」を丁寧に表現したのが「お気兼ねなく」です。

「気兼ね」の「気」には「心の働き」、「兼」には「二つ以上のものをあわせもつ」の意味があります。

「お気兼ねなく」を使った例文は、次の通りです。

「何かお探しの商品がございましたら、お気兼ねなくスタッフにお声がけくださいませ」

「すぐにおいとましますので、どうぞお気兼ねなく」

「メールでは24時間対応しておりますので、お気兼ねなくご連絡ください」

「お気軽に」

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「お気軽に」の「気軽」には、次のような意味があります。

こだわったり面倒がったりしないで行動に出るさま。また、堅苦しくなくて、気がおけないさま。

出典:小学館「気軽」

「気軽」には「こだわりなく物事をすぐすること」を表し、相手が躊躇しそうな場面で「楽な気持ちでどうぞ」という気持ちを表現するために「お気軽に」を使います。

「お気軽に」は口語でもメールなどの文面でも使いやすい表現です。

例えば、次のように使うことができます。

「〇月〇日に内覧会を開催しますので、皆様お誘いあわせの上、お気軽にご来場くださいませ」

「何かご不明な点などがございましたら、担当者までお気軽にお問合せください」

「当日は、平服でお気軽にお越しください」

「お気遣いなく」

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「お気遣いなく」の「気遣い」には、次のような意味があります。

あれこれと気をつかうこと。心づかい。

出典:小学館「気遣い」①

「気遣い」は「気をつかうこと」「配慮すること」の意味を持ち、「気遣いはしなくていいですよ」ということを丁寧に表す言い方で「お気遣いなく」を使います。

「お気遣いなく」の例文は、次の通りです。

「おいしいお土産をありがとうございました。どうぞお気遣いなさらないようお願いします」

「ご心配をおかけして申し訳ございません。こちらはもう大丈夫ですので、お気遣いなさらないでください」

「忌憚なく」の英語表現

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「忌憚なく」を英語で表現する場合には、「without reserve」(遠慮なく)や「frankly」(気軽に)などを使うことができます。

「You may speak without reserve.」や「You may speak freely.」で、「忌憚なくお話しください」という表現が可能です。

「忌憚なく」はざっくばらんなニュアンスを持つ言葉

以上、「忌憚」の意味と使い方、「率直」との違いなどについてまとめました。

この言葉は「遠慮することや慎むこと」をいい、相手に対して遠慮のない有益な意見を求める時などに「忌憚のない意見」「忌憚なく~する」といった形で使われています。

また「率直」にも近い意味がありますが、この場合は「飾り気がなくありのままであること」をいい、自分をよく見せようとして飾ったところがなく、本音をそのままに表した言動についていう場合に「率直に言って~」「率直な意見」などのような使い方をする言葉です。

これらの語は、いずれも建前などではない本心からの意見を言う時などに使うことができますが、それぞれニュアンスが異なるため、適切な場面で使い分けることをおすすめします。

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konomianko