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「拙い」の意味と使い方・例文・「稚拙」との違い・類義語・対義語は?現役記者がサクッと解説!

「拙い」(読み方:「つたない」)という言葉は、「拙い文章ですが~」「拙い説明ではございましたが~」といった形で、ビジネスメールやスピーチの結びの言葉、挨拶などでよく用いられています。

しかしながら、具体的にこの言葉はどのようなことを表すのか、もしくは近い意味のある「稚拙(ちせつ)」という語とどのような違いがあるのか、中には疑問を抱くこともあるかもしれません。

そこで、ここでは「拙い」の意味と使い方、また「稚拙」との違い、類義語や対義語について、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が解説していきます。

「拙い」の意味と使い方・例文

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それでは、始めに「拙い」の意味と使い方を説明していきます。

「拙い」の意味は?

まず、「拙い」には以下の複数の意味があります。

1. 能力が劣っているさま。

2. 物事に巧みでないさま。技術が未熟なさま。

3. 運が悪い。


つまり、「能力が他と比べて低い様子、細かいところまで注意が行き届かない」ことや「技術的に優れていない様子、下手なこと」、「運が悪い」ことを表す語となっています。

なお、「拙い」は「まずい」とも読み、この場合には「下手なこと」を表します。

「拙い」の使い方は?

次に、「拙い」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「彼は庭師の修行をしているが、技術はまだ拙いものだ」

「今回の海外旅行では拙い英語力でも何とかコミュニケーションをとることができた」

「拙い説明ではございましたが、本日はお付き合いいただきましてありがとうございました」

「拙い者ではございますが、以後よろしくお願いいたします」

「私の拙い文章は、巨匠のそれに比べてあまりにも見すぼらしいものであった」

「私は旅行中、拙い英語で行き先を告げて地図を見せ、どう行けばいいのか訊ねてみた」

「彼が披露した手品は、あまりにも拙くて批評のしようがなかった」

「拙い言葉だったが、その内容は僕らの胸を打った」

上記のように、「拙い」は主に2の意味で「拙い~」「拙い~ですが」といった形で用いられますが、1の意味では「不束者(ふつつかもの)ですがよろしくお願いします」という言い方と同じように「拙い者ですが~」といった形で使うことができます。

「拙い」と「稚拙」の違いは?

では次に、「拙い」と近い意味のある「稚拙」という語との違いについて見ていきましょう。

まず、「稚拙」の意味は「幼稚で未熟なこと、子供じみていて下手なこと」です。

要するに「経験などが不十分でそのことに熟練しておらず下手なこと」を表し、この言葉と「拙い」の使い方を比較すると以下のようになります。

「稚拙」:「その絵は稚拙ながらもどこか心に訴えかけるものを感じる」(その絵は子供っぽく下手であるにもかかわらずどこか心に訴えかけるものを感じる)

「拙い」:「学生たちによる演奏はもちろん技術的に拙いものであったが、曲目の選択が良くそれなりに楽しむことができた」(学生たちによる演奏はもちろん技術的に優れたものではなかったが、曲目の選択が良くそれなりに楽しむことができた)

つまり、「稚拙」は「未熟で子供っぽく下手なこと」、「拙い」は「技術が熟練していないこと」を表すというニュアンスの違いがあります。

「拙い」の類義語は?

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それでは、次は「拙い」の類義語・類語である「下手(へた)」「まずい」について見ていきましょう。

まず、これらの語の意味は以下のようになります。

「下手」:物事のやり方が巧みでないこと、手際が悪いこと。十分ではなく中途半端なこと。

「まずい」:味が悪いこと、美味しくないこと。出来ばえが悪いこと、技術が低いこと。具合が悪いこと、不都合なこと。

また、「まずい」は「不味い」や「拙い」と書くことができますが、「不味い」は「味が悪いこと」を、「拙い」は「出来栄えが悪いこと、技術が低いこと」を表す場合に主に用いられます。

「下手」の使い方は?「拙い」との違いは?

それでは、次に「下手」の使い方と「拙い」との違いについて見ていきましょう。

この語は、たとえば以下のように用いることができます。

「彼女は化粧をしているが下手くそで、かえって幼稚に見えた」

「私は下手の横好きだが、テニスを趣味としている」

「私は社内での駆け引きが下手だったので、技術を磨くことだけに注進した」

「私は話し下手なので、プレゼンテーションなどは部下に任せている」

このように、「下手」は単純に「物事を上手にできないこと」を述べる場合に用いられますが、「拙い」は謙遜する場面で使うことが多いため、ニュアンスも微妙に異なります。

「まずい」の使い方は?「拙い」との違いは?

それでは、次に「まずい」の使い方と「拙い」との違いについて見ていきましょう。

この語は、たとえば以下のように用いることができます。

「教授に論文を見せたところ、文章のまずい所を指摘して教えてくれた」

「私の教え方はまずいらしく、教頭に注意を受けた」

「私の運転がまずいのか、妻は何かと同乗を避ける」

「夏休みの宿題で描いた絵が、急いで描いたからかあまりにもまずい出来ばえで、提出するときに突っ返されないか心配だ」

「まずい」は、主にやり方や出来ばえについて述べる場合に用い、技術や能力について述べる「拙い」「下手」とは微妙にニュアンスが違います。

「拙い」の対義語は?

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次に、「拙い」の対義語である「巧い」について見ていきましょう。

「巧い」の意味と使い方は?

「巧い」は「技術や技量などが優れている、腕前が良い」ことを意味し、以下のように用いることができます。

「墨絵において彼以上に巧い人は見た事ない」

「日本の柔道選手は寝技の巧い選手が多いが、彼はその中でも特に巧い選手である」

「彼女は私より一回りも若かったが、自分よりはるかに巧い英語をしゃべった」

「学校では、話の巧い人に人が集まる」

「拙い」も「下手」も「巧みでないこと」を表すが、「拙い」は謙遜する場面でよく使われる

以上、「拙い」の意味と使い方、「稚拙」との違い、類義語、対義語についてまとめました。

この言葉にはいくつかの意味がありますが、主に「下手なこと、巧みでないこと」といった意味で用いられ、技術的に優れていない、熟練していない様子を表す場合に用いられます。

また、「稚拙」という言葉も何かが下手なことを表しますが、この場合には「おさない」というニュアンスが含まれ「幼稚で下手なこと」を述べるときに用いることができるでしょう。

一方、類義語として「下手」「まずい」を紹介しましたが、「下手」は単に「巧みでないこと」を述べる場合に使われ、謙遜する場合に使われることが多い「拙い」とは微妙にニュアンスが異なります。

それぞれの語は、微妙なニュアンスの違いがあるため、それを念頭に適当に使い分けるようにすると良いでしょう。

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KHajime