用語

「試行錯誤」の意味と使い方・語源・例文・類義語は?現役記者がサクッと解説!

「試行錯誤」(読み方:「しこうさくご」)という言葉は、「~に試行錯誤する」「試行錯誤を重ねる」などの形でよく用いられています。

さまざまな場面で使用されている語ではありますが、この言葉が具体的にどのようなことを表しているのか、また近い意味のことを別の言葉で言い表す場合にはどのような表現があるのか、中には疑問に思うことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「試行錯誤」の意味・語源と使い方、また類義語にあたる「暗中模索」「悪戦苦闘」との違いについて、科学・技術系記事の執筆を中心に活躍する筆者が説明していきます。

「試行錯誤」の意味・語源と使い方・例文

image by iStockphoto

それでは、始めに「試行錯誤」の意味・語源と使い方を見ていきましょう。

「試行錯誤」の意味は?

まず、「試行錯誤」には「さまざまなことを繰り返し試み、何度も失敗しながら目的に近づいていくこと」といった意味があり、「いろいろなことを繰り返し試して失敗を重ねながら、解決方法などを見つけ出していくこと」を表す語となっています。

「試行錯誤」の「試行」は「試しに行うこと」で「錯誤」は誤りや間違いを意味しています。このように、本来「試行錯誤」という語には「目的に近づいていく」「解決方法などを見つけ出していく」という意味は含まれませんが、それはこの言葉が英語の「trial and error」に由来するからです。

「試行錯誤」の語源は?

「試行錯誤」は、英語の「trial and error(トライアル・アンド・エラー)」に由来しており、「trial and error」はアメリカの心理学者E.L.ソーンダイクが提唱した人や動物の基本的な学習様式を表しています。

英語ではtrial and error。人や動物が新しい問題状況や刺激状況に当面した場合,本能や習慣などのままに行動し,失敗を重ねるうちに,偶然的に解決すると,以後はその成功した方法のみに従う習性をいう。出典:百科事典マイペディア(発行所 株式会社平凡社)「試行錯誤」

ちなみに、「トライ・アンド・エラー」は誤用であり、「トライアル・アンド・エラー」が正しい言い方です。

「試行錯誤」の使い方は?

次に、「試行錯誤」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「実験を成功させるには、多くの時間と試行錯誤を必要とする」

「試行錯誤の末に味と価格のバランスが取れた新作メニューを完成させる」

「発明品は多くの試行錯誤を重ねた上で完成するものだ」

「試行錯誤を重ねて集客を図る」

「火星への移住は不可能と考えられていたが、その研究は試行錯誤しつつも積極的に行われている」

「試行錯誤」の類義語は?

image by iStockphoto

次に「試行錯誤」と近い意味のある他の言葉について見ていきます。

暗中模索(あんちゅうもさく)

「暗中模索」は、「手掛かりのない状態でいろいろとやってみること」を表し、たとえば以下のように用いることができます。

「突然のリストラに、次の仕事が見つかるまでどうやって生計を立てるか暗中模索する」

「うつ病で休職して1年経ってもなかなか回復の兆しが見えず暗中模索していた」

「暗中模索の最中だが、確かに良くなっているような実感はある」

「暗中模索」には「試行錯誤」の意味には含まれない「手掛かりのない状態で」という意味を含んでおり、また「試行錯誤」に含む「何度も失敗しながら目的に近づいていく」という意味を含んでいません。そのため「暗中模索」の場合は、手掛かりのない状態の中、ただいろいろやってみただけで、失敗を重ねたのか、目的に近づいたのかは考慮していません

そのため、「いろいろやってみる」時はどのような状態だったか、そしてどのように行い、行ってみてどうなったかという情報の有無によって「暗中模索」と「試行錯誤」を使い分けることができるでしょう。

悪戦苦闘(あくせんくとう)

image by iStockphoto

「悪戦苦闘」には「悪条件のもとで苦しみながら努力すること」といった意味があり、以下のように用いることができます。

「優勝候補と目されるチームを相手に悪戦苦闘する」

「競合店の出現による売上低迷に悪戦苦闘する」

「貧乏生活の悪戦苦闘に疲れ果て、実家に帰り家業を継ぐことになった」

「悪戦苦闘」も「暗中模索」と同様に「悪条件のもとで」という「試行錯誤」には含まれない状態を表す意味を持っており、また「目的に近づいていく」という意味を持っていません

しかし、「試行錯誤」の「何度も失敗しながら」と似た「苦しみながら」という、どのように行ったかを表す意味を含んでいるので、「努力」した時はどのような状態で行ってみてどうなったかという情報の有無によって「悪戦苦闘」と「試行錯誤」を使い分けることができるでしょう。

「試行錯誤」は行為を行う時の状況や行い方によって「暗中模索」「悪戦苦闘」と使い分ける

以上、「試行錯誤」の意味と使い方についてまとめました。

この言葉は「いろいろなことを試して失敗しながら目的に近づくこと」を表し、主に研究、調査、発明、商品開発などといった難しいことを解明したり、新しいものを生み出したりするためにさまざまなことを試みる場面について述べる場合に用いられています。

また「試行錯誤」は、心理学の専門用語であり人や動物の基本的な学習様式を表す「trial and error」に由来し訳したものであるため、「試行錯誤」という語そのものからは「試行錯誤」の意味を読み取ることはできません。

「暗中模索」にも「いろいろなことを試してみる」といった意味がありますが、この場合には「手掛かりのない状況で闇雲に何かを行う」といったニュアンスが含まれ、「目的に近づく」という意味は含まれません

そして「悪戦苦闘」は、「悪条件のもとにあって苦しみながら何かを達成しようと努めること」を表し、「悪条件のもと」といった状況や「苦しみながら」のような行為を形容する意味を含んでいます。

これらは目的のために何かを試みる、努力するといった部分で近い意味がありますが、それぞれ違った状況で用いる表現となるため、意識して使い分けると良いでしょう。

Share:
KHajime