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「知己」の意味と使い方・例文・「知人」との違いは?現役の校正者がサクッと解説!

「知己」(読み方:「ちき」)という言葉は、「知己を得る」「長年の知己」などの形でよく用いられています。

といっても、この言葉は普段頻繁に用いる類の語ではなく、具体的にどのようなことを表すのか、もしくは似た意味のある「知人」や「知り合い」という語句とどのような違いがあるのか、中には疑問に思うこともあるかもしれません。

そこで、ここでは「知己」の意味と使い方、また「知人」と比較してそれぞれの違いを説明していきます。
これまで数多くの小説や記事の校正を担当してきた筆者が解説します。

「知己」の意味と使い方・例文・「知人」との違い

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それでは、以下に「知己」の意味と使い方、また「知人」との違いを説明します。

「知己」の意味は?

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「知己」の「知」は知っているという意味が、「己」には自分という意味がそれぞれあります。

 

「知己」はその漢字の組み合わせの通り、「自分を良く知っている人、親友」「知人」といった意味があり、自分の考えなどをよく理解してくれている人や親友」もしくは「知り合い」を表す語です。ですが単なる「知り合い」とは使われ方が大きく異なります。

「知己」の使い方の例

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次に、「知己」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

主に対象の相手に対してより敬意を払う印象を与える時に使用されます。話し言葉で使われることは少ないですね。少し古めかしい印象がありますが、この言葉はたとえば以下のように用いることができるのです。

 

「知己の伝手(つて)を頼って未経験の職種に転職する」

「彼とは10年の知己の間柄だ」

「積極的にたくさんのセミナーに参加することで、その業界の関係者に多くの知己を得ることができた」

「それが初対面だったにもかかわらず、不思議と彼に対して長年の知己であるかのような親しみを覚えた」

「同じ職場のAさんとBさんは知己朋友として知られている」

「知人」との違い

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次に、似た意味のある「知人」という語との違いについて見ていきます。

5年の付き合いがある知人、5年の付き合いがある知己、どちらも似た使い方ができますね。「知人」は「お互いに知っている人」を表し、この語と「知己」の使い方を比較すると以下のようになります。

「知人」:「郷里へ帰る途中、空港でばったりと知人に出会した」(郷里へ帰る途中、空港でばったりと知り合いに出会した)

「知己」:「彼とは出会った当初からまるで長年の知己のように話がはずんだ」(まるで長年自分のことをよく理解してくれている人が相手であるかのように、彼とは出会った当初から話がはずんだ)

つまり、「知人」は単純に「互いに相手のことを知っている人(つまり面識がある人や知り合い)」、「知己」は「自分の気持ちをよく理解してくれている人」を表すというニュアンスの違いがあります。

使い所によっては幼なじみや友達以上の親友に近い相手を表すことも多いです。

「知己」の反対語は?

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ではそんな「知己」の反対語に当たる言葉はどのようなものがあるでしょうか。

「知己」が深く理解してくれている人を表すのであれば、「全く知らない人」が反対語に当たると予想されるかもしれませんが、概ねその通りと言えます。ここで反対語の例をまとめて見ていきましょう。

「他人(たにん)」:自分と関わりのない人、知らない人。

「他所様(よそさま)」:他人を丁寧に表現した形。

「無縁(むえん)」:相手との関係性が全くない、あるいはほとんどない。

「部外者(ぶがいしゃ)」所属する組織や部に属していない人、無関係の人。

「知己」に似た表現は?

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知り合いと紹介されるよりも「知己」と紹介された方が嬉しいですよね。

日本語古来の美しさも感じますし、そんな素敵な表現ができる類義語は他にもありますので、いくつか紹介します。

「竹馬の友(ちくばのとも)」:幼なじみを竹馬に乗って遊ぶような子供時代にたとえた表現。

「旧知の仲(きゅうちのなか)」:昔からお互いに知り合い。古くからの知人。

「管鮑の交わり(かんぽうのまじわり)」:非常に仲の良い友達同士。付き合いの長い親密な関係。

「断琴の交わり(だんきんのまじわり)」:とても固い友情で結ばれている関係。

「肝胆相照らす仲(かんたんあいてらすなか)」:心の底から明らかにできる関係。

「知己」の由来は三国志?

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「知己」が使われるようになったのは、戦国時代。司馬遷によって書かれた刺客列伝という史記と言われています。その中に登場する暗殺者豫譲(よじょう)の行動が鍵を握っていました。

豫譲は多くの主人に仕える士官でしたが、その中でたった一人「智伯」という人だけが豫譲の才能を見抜き手厚く用いたのです。ところがその智伯のあまりの横暴さにより内輪揉めが発生。智伯は油断したところをあっさりと殺されてしまいます。それに対して怒ったのが豫譲です。

豫譲は激怒し、智伯を殺した人への復讐を決行します。ですが暗殺の際、その目論見が当人にバレてしまったのです。もはやこれまでと思った豫譲に対してその人はこう問いました。

「なぜ他の主人が殺されても復讐せず、私にだけ恨みを抱き復讐するのか」

そう問われた豫譲は

「他の主人は一般兵と同じ扱いをした。智伯だけは違かった」

と言い、最後はその智伯を殺した人の上着をもらい、それを傷つけたことで復讐の一部を成したとし、自害してしまいます。心からの理解者だった智伯だったからこそ、ここまでの行動に繋がったのですね。この心からの理解者というのが「知己」に繋がったとされています。

三国志に興味がある方は是非調べてみてくださいね。

「知己」は「よく理解してくれている人」、知人としても用いられる

以上、「知己」の意味と使い方、「知人」との違いについて由来や類義語も含めてまとめました。

この言葉は「自分のことをよく理解してくれている人」を表し、(主に文章で)「知己を得る」「無二の知己」などの形で用いることができます。

また「知人」は互いに相手を知っている人を表し、その意味で一般的に用いられている語ですが、「知己」についても「知人」という意味で用いることが可能です。

それぞれ同じような使い方ができますが、会話など一般的な使い方をする場合には「知人」文章では「知己」といったように使い分けると良いかもしれません。

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