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「奔走」の意味と使い方・例文・「奮闘」「尽力」との違いは?現役の校正者がサクッと解説!

「奔走」(読み方:「ほんそう」)という言葉は、「~に奔走する」といった形でよく用いられています。

とはいえ、この言葉は具体的にどのようなことを表すのか、もしくは近い意味のある「奮闘」「尽力」といった語とは具体的にどのような違いがあるのか、中には疑問が浮かぶこともあるかもしれません。

そこで、ここでは「奔走」の意味と使い方、また「奮闘」「尽力」との違いを説明していきます。
これまで数多くの小説や記事の校正を担当してきた筆者が解説します。

「奔走」の意味と使い方・例文・「奮闘」「尽力」との違い

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似たような意味を持つ語句が多い「奔走」ですが、その中でどういった意味を持ち、どのような場面で使われるのでしょうか。

「奔走」の意味と使い方、またよく使われる「奮闘」「尽力」との違いを合わせて説明します。

「奔走」はただ努力するというより、走り回るニュアンスが強い

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「奔走」の「奔」には先を急いで勢いよく走るという意味があります。そこに「走」が更に加わっていますから非常に強く動き回っている様子が目に浮かびますよね。

そんな「奔走」には以下のような意味があります。

物事の実現に向けて走り回って努力すること。

出典:明鏡国語辞典

つまり、「物事を実現させる、物事をうまく進めるためにあちこちを走り回って努力すること」を表す語となっています。逆に言えば物事や目標といったものがなければ奔走という表現は適していないとも言えますね。

「奔走」の使い方の例

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次に、「奔走」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば、ある目的のためにあちこちに行って交渉をするなどして物事を実現するような場面について述べる場合に、以下のように用いることができます。

「その業界に顔の広い友人が奔走してくれたおかげで無事に就職することができた」

「彼は今度飲食店を始めるようで、今はその開業資金の調達に奔走している」

「会社の労働環境を改善するために労働組合の発足に奔走する」

「業界の人脈作りに奔走する」

「奮闘」「尽力」との違い

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次に、似た意味のある「奮闘」「尽力」という語との違いについて見ていきましょう。まず、これらの語には以下の意味があります。

力をふるって戦うこと。

出典:明鏡国語辞典「奮闘」

力いっぱい努力すること。

出典:明鏡国語辞典「尽力」

そして、これらの語句と「奔走」の使い方を比較すると以下のようになります。

「奮闘」:「彼女は今では2児の母となり、日夜子育てに奮闘中だ」(彼女は今では2児の母となり、日夜子育てに精一杯努力している)

「尽力」:「ご多忙の中、多大なるご尽力を賜りましたこと、改めて御礼申し上げます」(お忙しい中、我々のために力を尽くしていただいたことに改めて御礼申し上げます)

 

つまり、「奮闘」は「困難に対して精一杯の努力をすること」、「尽力」は「人のために力を尽くす、精一杯働くこと」、「奔走」は「何かをかなえるために走り回って努力をすること」を表すというニュアンスの違いがあります。

「東奔西走」との関連性と似た意味の四字熟語

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「奔走」の文字が使われている四字熟語「東奔西走(とうほんせいそう)」。この四字熟語の意味も「奔走」と同じく「仕事や目的のためにあちこち駆け回ること」を指します。東西という文字が入っていることから、西へ東へ非常に大きく駆け回ることを指し、奔走を超えるほどの大変さを表現する時に用いることが多いです。

「東奔西走」以外にも似たような意味の四字熟語は以下のものが挙げられます。

「南行北走(なんこうほくそう)」:南へ行き北へ走る、あちこち忙しく駆け回ること。

「東行西走(とうこうせいそう)」:東へ行き西へ走る、慌ただしく動き回ること。

「南船北馬(なんせんほくば)」:全国をせわしなく旅すること。南は海が多いから船、北は山が多いから馬が使われたことから用いられている。

駆け回るという意味では「右往左往」も似たような意味を持ちますが、こちらは目的が何もなくただあちこち慌てふためく様子を表しているものとなり、奔走・東奔西走とはまた違った場面で使われます。

「奔走」と似た意味を持つ類義語

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四字熟語以外にももちろん「奔走」と似た意味を持つ類義語がいくつかあります。いずれも目標に対して並並ならぬ努力を表す言葉です。ビジネスなどで使う場面も多いですから、これを機に類義語も覚えておきましょう。

「進達(しんたつ)」:よくなるように進んで努力すること。進歩・上達すること。〜を進達する、と用いられることが多い。

「腐心(ふしん)」:ある目的を成し遂げるために心を苦しめ、考え込んでしまうこと。頭を悩ませながら目標に近づくこと。

「骨折り(ほねおり)」:精を出して働くこと。苦労を重ねること。またそれに対しての報酬を与える際にも用いられる。

「狂奔(きょうほん)」:狂ったように走り回ること。目的のためがむしゃらに取り組むこと。奔走よりも一心不乱に取り組む様子。

「疾駆(しっく)」:車や馬などを速く走らせること。物事の進行が速い、また速めること。例えば車で飛ばしてきた、などの場合などは「車で奔走する」ではなく「車で疾駆する」と言い換えられる場合もある。

「刻苦(こっく)」:心身を苦しめて努力をすること。苦労を重ねながら目標に近づくこと。

あちこちに行って努力する様子に「奔走」は最適な表現

以上、「奔走」の意味と使い方、「奮闘」「尽力」との違いを由来や類義語も含めてまとめました。

この言葉は「何かの物事をうまく進めるためにあちこちに走り回って努力すること」を表し、用いられるのは「~に奔走する」といった形。

また「奮闘」「尽力」は力を尽くす、努力するといった意味を含み「奔走」と近い意味がありますが、「奮闘」は困難なことに精一杯努力すること、「尽力」は何かの目的や人のために力を尽くすことをいいます。

これらはそれぞれ異なる場面で用いることができるため、たとえば、何かを掛け合うなどあちこちに行って努力することについて言いたい場合には「奔走」、ある人が困難に精一杯努力する様子を述べる場合には「奮闘」、人のために力を尽くすことには「尽力」と、場面に応じて使い分けが可能です。

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