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「泰然自若」の意味と使い方・類義語・対義語は?国語科の教員がサクッと解説!

四字熟語に「泰然自若」(読み方:たいぜんじじゃく)というものがあります。

この言葉は「泰然自若とする」「泰然自若と~する」などの形でよく用いられています。

人に対する褒め言葉として使うことができ、座右の銘としている人も多いようですが、この言葉は具体的にどのような状況で用いるのかをご存じでなかったり、また、類義語や対義語といった周辺知識をお持ちでない方もいるかもしれません。

そこで国語科の教員である私が、「泰然自若」という四字熟語の意味・使い方と、その類義語・対義語をご紹介したいと思います。

「泰然自若」とは

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「泰然自若」の意味

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「泰然自若」には以下のような意味があります。

落ち着いていてどんなことにも動じないさま。
出典:新明解四字熟語辞典・第2版。三省堂

つまり、「落ち着いていて、どのような場面に直面しても、動揺したり平静さを失ったりせず、平常心を保っている様子」を意味する四字熟語です。

ちなみに「泰然」も「自若」も、共に「落ち着いていて物事に動じないさま」という意味のある熟語で、類義の語を重ねて、意味を強調しています。

「泰然自若」の使い方・例文

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次に、「泰然自若」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「ビルの非常ベルが鳴り響く中でも泰然自若として的確に行動する」


「上司からの急な残業依頼に対して、泰然自若とした態度で対応する」

先ほど説明したように、「泰然自若」は「差し迫った事態にも落ち着いて対処する様子」を述べる場合に用いられ、褒め言葉として用いることが多い四字熟語です。

「泰然自若」の類義語その1「余裕綽々」

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「泰然自若」という言葉の類義語に、「余裕綽々」(読み方:よゆうしゃくしゃく)という言葉があります。

「余裕綽々」の意味

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「余裕綽々」には以下のような意味があります。

ゆったりと落ち着き払ったさま。
出典:新明解四字熟語辞典・第2版。三省堂

中国戦国時代、魯(ろ)の孟軻(もうか)に敬意を表し「孟子」(もうし)と呼びますが、その孟子の言行をかなり忠実に記録した『孟子』という儒家の書に由来する四字熟語です。

ちなみに「余裕」は皆さんご存知の通り、「焦らずゆったりとしていること」という意味があり、「綽々」は「ゆったりして、小さいことにこだわらないさま」という意味があります。

「余裕綽々」の使い方・例文

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次に、「余裕綽々」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「心配性な自分は、大事な試験の前日にも余裕綽々としていられるだろうか」

「同点で延長戦を迎え、選手たちに疲れが見える中で、自信家の彼は一人余裕綽々としていた」

「泰然自若」の類義語その2「従容無為」

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また「従容無為」(読み方:しょうようむい)という言葉もあります。

「従容無為」の意味

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「従容無為」には以下のような意味があります。

何ものにもわずらわされず心がゆったりしていて、何もかまえることがないこと。
出典:新明解四字熟語辞典・第2版。三省堂

万物を支配する根本原理を「道」とし、「道」から見れば、すべての事物に差異はないとする「万物斉同」の思想が書かれている中国の古典『荘子』(そうじ)に由来する四字熟語です。

ちなみに、「従容」は「ゆったりと落ち着いているさま」という意味があり、「無為」は行為が無い、つまり「何もしないこと」という意味があります。

「従容無為」の使い方・例文

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次に、「従容無為」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「仕事で犯してしまった大失敗を、従容無為とした態度で受け入れられる人がどれだけいるだろうか。」


「彼女の振る舞いは、きわめて従容無為とした、自然な態度だ。」

「泰然自若」の対義語その1「周章狼狽」

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「泰然自若」という言葉の対義語に、「周章狼狽」(読み方:しゅうしょうろうばい)という言葉があります。

「周章狼狽」の意味

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「周章狼狽」には以下のような意味があります。

大いに慌てること。非常に慌てうろたえること。
出典:新明解四字熟語辞典・第2版。三省堂

「周章」も「狼狽」も、共に「慌てる」という意味のある熟語で、類義の語を重ねて、意味を強調しています。

一説によると、「狼」は前足が長く後ろ足が短い、また「狽」は前足が短く後ろ足が長いという、共に伝説上の獣だそうです。

「狽」が「狼」の後ろに乗るようにして、二頭は常に一緒に行動するとされ、離れると動けず倒れてしまうことから、「狼狽」=「うまくいかなくて、慌てふためく」という言葉が生まれました。

「周章狼狽」の使い方・例文

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次に、「周章狼狽」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「面接で誇張して話した過去の成功体験に対して鋭い質問を受け、周章狼狽する」

「彼女と行った旅行先で、交際を隠している職場の同僚とばったり会い、周章狼狽する」

「泰然自若」の対義語その2「戦々恐々」

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「泰然自若」という言葉の対義語に、「戦々恐々」(読み方:せんせんきょうきょう)という言葉があります。

「戦々恐々」の意味

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「戦々恐々」には以下のような意味があります。

恐れてびくびくしている様子。何かに恐れ慎む様子。
出典:新明解四字熟語辞典・第2版。三省堂

中国最古の詩集で、中国古典史の源流として文学研究対象としても高い評価を得ている、儒教の経典『詩経』(しきょう)に由来する四字熟語です。

ちなみに、「戦々」は「震えて恐れること」という意味があり、「恐々」は「緊張して恐れるさま。恐れて戒め慎むさま」という意味があります。

「戦々恐々」の使い方・例文

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次に、「戦々恐々」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「受験の結果発表を目前に、戦々恐々としている」


「近い将来、大地震が起きるという情報を聞いて、住民は戦々恐々としている」

ニュアンスの違いにも敏感になりましょう!

以上、「泰然自若」の意味と使い方、類義語・対義語などの周辺知識について説明しました。

この言葉は「落ち着いていて動じない様子」を表し、「慌てたり取り乱したりするような場面に直面しても平静とした態度でいるような様子」について述べる場合に使用され、その様子を評価する「褒め言葉」として用いることができます。

また、類義語として「余裕綽々」がありますが、この言葉は「態度にゆとりがある様子」をいい、「泰然自若」とは少し違ったニュアンスがあるため、場面に応じて使い分けることが必要です。

類義語とはいえ、完全にイコールというわけではありません。言い回しが違うということは、多少ニュアンスの違いがあるもの・・・。

ぜひ言葉のニュアンスにもこだわって、文章の中できちんと使い分けられる大人になりたいものですね。

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g_yairi1977