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「均衡」の意味と使い方・例文・「バランス」「均等」との違いは?現役ライターがサクッと解説

「均衡」(読み方:「きんこう」)という言葉は、「均衡を保つ」「均衡を破る」などの形でよく用いられています。

しかしながら、日常的に頻繁に用いる語ではなく、具体的にこの言葉がどのようなことを表すのか、もしくは「均衡」と近い意味を持つ「バランス」「均等」といった言葉とどのような違いがあるのか、中には疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「均衡」の意味と使い方、また「バランス」「均等」などの類義語との違いを、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきましょう。

「均衡」の意味と使い方・例文・「バランス」「均等」との違い

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それでは、以下に「均衡」の意味と使い方、また「バランス」「均等」などの類義語との違いを説明していきます。

「均衡」の意味は?

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まず、「均衡」には以下のような意味があります。

二つまたはそれ以上の物事の間で、力や数量などの釣り合いがとれていること。バランス。

出典:明鏡国語辞典「均衡」

「均衡」の使い方・例文

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次に、「均衡」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「需要と供給の均衡を図るために、短期間で納品が可能となる効率的な受注生産の体制を整える」
「両者無得点のまま迎えた9回表、彼の2ランホームランで2点を先制し試合の均衡を破った」
「収入と支出の均衡を保った相応の生活をする」
「その業界の勢力分布は依然として均衡している」
「正社員とパートタイム労働者との均衡を考慮した処遇に努めるべきだ」

例文からわかるように、「均衡」は経済や金融の場面でよく見かける言葉で、日常生活ではあまり使いません。

「均衡」という言葉には、「均」にも「衡」にも「つりあい」という意味が含まれています。そのことからも、「釣り合いがとれていること」を表すのだということがわかりますね。

「均衡を保つ」「均衡を維持する」というのは、二つのものの「バランスをとる」の意味で使われる表現です。

そのバランスが崩れた場合に、「均衡が破れる」「均衡が崩れる」「不均衡になる」などと言います。

ちなみに、「均衡価格」とは、市場(マーケット)で需要と供給が釣り合ったときの価格のことです。

「均衡」の類義語

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では、「均衡」と似た意味を持つ言葉には、どのようなものがあるのでしょうか。

「バランス」

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「バランス」は、次のような意味を持つ言葉です。

つりあい。均衡。

出典:明鏡国語辞典「バランス」

「バランス」は、「調和がとれていること」「それぞれの物事が程よく釣り合いがとれていること」を意味する言葉です。

「私は健康に気を配っているので、毎日バランスのとれた食事を心がけている」

「仕事とプライベートのバランスを保つことができる働き方をする」(仕事とプライベートの調和を保つことができる働き方をする)

のような使い方をします。

 

「均等」

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「均等(きんとう)」は、次のような意味を持ちます。

平等で差がないこと。

出典:明鏡国語辞典「均等」

「均等」は「二つ以上のものの間に差がなく、平等なこと」という意味を持つ言葉で、

「子どもたちがけんかしないよう、大きなケーキを均等に4つに切り分ける」

「歓迎会の費用の総額を均等割で支払う」(歓迎会の費用を皆で平等に割って支払う)

のような使い方をします。

「拮抗」

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「拮抗(きっ抗、きっこう)」が持つ意味は、次の通りです。

勢力などがほぼ同等のものどうしが、互いに張り合って優劣のないこと。

出典:小学館「拮抗」

「拮抗」は、「ほぼ同等の勢力・実力を持つ者どうしが、互いに対抗し合っている状態」のことをいいます。

「両者の実力は拮抗している」

というように使われ、「均衡」のように「拮抗が破れる」などの使い方はできません。

また、例えば薬の中には、他の薬や特定の食べ物と一緒に摂取してはいけないものがありますね。そのように「ある現象に対して、二つの要因が互いにその力を打ち消し合う作用」のことを「拮抗作用」といいます。

「釣り合い」

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「釣り合い」は、次のような意味を持ちます。

釣り合うこと。均衡。調和。バランス。

出典:三省堂「均斉・均整」

「釣り合い」は、「均衡」と同じく「二つのものの程度がほぼ同じである」という意味も持ちますが、それに加えて「調和がとれている」の意味もあります。

「あの二人はまるで美女と野獣だ。不釣り合いなカップルだ」

のような例文は、「調和がとれている」の意味になるため、ここが「均衡」とは異なる点です。

「均整・均斉」

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「均整・均斉(きんせい)」には、次のような意味があります。

つりあいがとれて全体として整っていること。安定したつりあい。

出典:三省堂「均斉・均整」

「均整・均斉」も「均衡」と同じような意味を持つ言葉です。

「均整のとれた体つき」

などの使い方をします。

釣り合っているものが「均衡」は抽象的なものであるものに対して、「均整・均斉」の方が具体的なものであるという点が、二つの言葉の違いです。

「均衡」の対義語

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「均衡」の反対の意味を持つ言葉は、「不均衡」「アンバランス」だと言われています。

「貿易相手国との経常収支の不均衡が問題だ」

「ホルモンのアンバランスによる不調」

のような使い方をしますが、「均衡」と「バランス」とはニュアンスが異なりますから、「均衡」の対義語としては「不均衡」が最適ということになるでしょう。

つまり「均衡」は、

「同じ業務であれば雇用形態に関係なく待遇や賃金を均衡にするという考え方の是非を問う」

(同じ業務であれば雇用形態に関係なく待遇や賃金の釣り合いが取れた状態にするという考え方の是非を問う)

という例文からもわかるように、「力や数量など抽象的なものの釣り合いが取れていること」を表すというニュアンスを含む言葉です。

抽象的なもののバランスについて使おう

以上、「均衡」の意味と使い方、「バランス」「均等」などの似た言葉との違いについてまとめました。

「均衡」という言葉は「主に抽象的な二つ以上の物事で数量などの釣り合いがとれていること」を表し、「~の均衡を保つ」(釣り合いがとれた状態を保つ)「均衡を破る」(釣り合いがとれていた状態を損なう)などの形で用います。

また「バランス」という語も釣り合いがとれているという意味で一般的に用いますが、この場合は二つ以上の物事で調和がとれていること、たとえば全体として見た時に、ほどよく望ましい状態になっているようなことを表す言葉です。

そして、「均等」は二つ以上の物事の間でまったく差がないことを表すなど、それぞれの言葉には微妙に違った意味があります。

これらの言葉を意識して使い分け、正しい表現ができるように心がけましょう。

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konomianko