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「芳醇」の意味と使い方・例文・「豊潤」との違いは?現役ライターがサクッと解説

「芳醇」(読み方:「ほうじゅん」)という言葉は、「芳醇な酒」「芳醇なワイン」などの形でよく用いられています。

主にお酒の形容に使われていますが、「芳醇」という言葉が具体的にどのような意味を持っているのか、また似たような意味を持ち同じ読み方をする「豊潤」という語とはどのような違いがあるのか、疑問に思うことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「芳醇」の意味と使い方、また「豊潤」との違いなどについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「芳醇」の意味と使い方・例文・「豊潤」との違い

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それでは、「芳醇」の意味と使い方、また「豊潤」との違いなどについて説明していきましょう。

「芳醇」の意味は?

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まず、「芳醇」には以下のような意味があります。

酒などの香りが高く、味のよいこと。

出典:明鏡国語辞典「芳醇」

つまり、「(お酒などの)香りが強く味が良いこと」を表す語となっています。

「芳醇」の使い方・例文

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次に、「芳醇」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「その店では季節の地元野菜を使った料理とともに芳醇なワインを楽しむことができる」
「芳醇な香りが堪能できるブランデーケーキに舌鼓を打つ」
「一週間が終わる金曜の夜には高級ピザをつまみながら芳醇なビールを味わう至福のひとときを過ごすようにしている」
「芳醇な香りのコーヒーを飲んで一日の英気を養う」

このように、「芳醇」はお酒に対してよく使われる言葉ですが、他の飲食物について使われることもあります。

ただし、「上質で高級な」「上品な」というニュアンスを含みますので、飲食物なら何でも良いわけではありません。

「芳醇」の由来

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「芳醇」は「芳純」と書き表されることもあります。

「芳」は「芳しい(かんばしい)」、つまり「とても良い匂い」という意味で、もともとは植物の香りを表す言葉でした。

「醇」は「まじりけのない」「うすめていない」という意味を持ちますから、「芳純」の「純」とも書き換えられるわけですね。

「芳醇」の類義語

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それでは、「芳醇」と同じような意味で使われる言葉にはどのようなものがあるか、見ていきましょう。

「濃厚」

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「濃厚(のうこう)」は、「味やにおい、成分などが濃いさま」を意味する言葉で、特に飲食物に対してだと「脂肪分、卵、砂糖を多く含み、こってりしている」ことを表します。

「芳醇」とは違って、「濃厚」は特に上質な飲食物だけに限ったものではありません。

「こく」

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「こく」は、一説には形容詞「濃い」が名詞化したものと言われているように、「濃くて深みのあるうまみ」を表す言葉です。

濃厚な旨みという意味では「芳醇」と類似していますが、「こく」の場合は香りより味について表現しています。

例文は、「こくのある酒」「こくのあるスープ」などです。

「馥郁」

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「馥郁(ふくいく)」は、「良い香りがただよっているさま」を表す言葉です。

「馥郁たる梅の花の香り」「馥郁とした日本酒の香り」のように使われます。

「甘美」

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「甘美(かんび)」とは、「とろけるように甘くて味の良いこと、また、そのさま」を表す言葉です。

「甘美な果実」「甘美な味わい」のように使います。

「甘露」

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「甘露(かんろ)」は、サンスクリット語「amrta(アムリタ)」の訳です。インド神話で「蜜のように甘く、飲むと不老不死を得る」とされた「不死」「天酒」の意味を持ち、そこから転じて美味な飲み物に対しても使われるようになりました。

「甘露水」「甘露酒」「甘露煮」などに使われています。

「醇味」

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「醇味(じゅんみ)」は、「まじりけなく、こくのある酒の味」「美酒の味」の意味を持つ言葉です。

 

「芳醇」の英語表現

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「芳醇」の英語表現には、次のようなものが挙げられます。

mellow:熟している、芳醇な

rich flavor:こくがある

full-bodied:(酒などの)こくがある

「リッチな味」という言い方は日本語でも定着していますね。バターや卵がたっぷり入った料理やお菓子などによく使われます。

「豊潤」との違い

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では次に、同じ読み方をする「豊潤」との違いについて見ていきましょう。

「豊潤」には、次のような意味があります。

 

豊かでうるおいのあること。

出典:明鏡国語辞典

そして、この語と「芳醇」の使い方を比較すると以下のようになります。

「豊潤」:「バイオリン特有の豊潤な美しい音色を聴いていると自然と心が落ち着いてくる」(バイオリン特有のしっとりとした趣のある美しい音色を聴いていると自然と心が落ち着いてくる)

「芳醇」:「そのワインは安いながらも芳醇で豊かな味わいがある」(そのワインは安いながらも香りが強く豊かな味わいがある)

つまり、「豊潤」には「豊かでみずみずしく、潤いがある様子」という意味があり、飲食物の味わいや香りを表すというよりは、「豊潤な音色」「豊潤な土地」のような使われ方をします。

それに対して「芳醇」は、お酒やその他の上質な飲食物について「強い香りがあり味が良いこと」を表すというところが2つの言葉の異なる点です。

「芳醇」と「豊潤」を使い分けよう

以上、「芳醇」の意味と使い方、「豊潤」との違いなどについてまとめました。

「芳醇」という言葉は「香りが高く味の良いこと」を表し、主にワインなどのお酒がもつ独特な香りを表現する場合に用います。

一方「豊潤」は、「豊かでうるおいがあること」を表し、楽器の音色などの趣のある様子や、食べ物のみずみずしい様子について言い表す場合に使われる言葉です。

この2つは読み方が同じ語ではありますが、意味としては大きく異なります。お酒などの香りの高さが特徴のものについて述べる場合には「芳醇」、うるおいがある様子を表現したい場合には「豊潤」と使い分けるようにしましょう。

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konomianko