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「大義名分」の意味と使い方・例文・類義語は?現役ライターがサクッと解説

「大義名分」(読み方:「たいぎめいぶん」)という言葉は、「大義名分が立つ」などの形でよく用いられています。

さまざまな場面で用いられている語ではありますが、具体的な意味を理解し使用できているでしょうか。
またどのような使い方をすることができるのか、他に近い意味の語にはどのようなものがあるのか、中には疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「大義名分」の意味と使い方、また類義語にあたる言葉について説明していきます。

「大義名分」の意味と使い方・例文

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それでは、以下に「大義名分」の意味と使い方について説明します。

#1 「大義名分」の意味とは?

まず、「大義名分」には以下のような意味があります。

人として、また臣民として守らなくてはならない本来の道義。

行動の基準となる道理。また、何か事を起こすときの根拠。

出典:明鏡国語辞典「大義名分」

 人として、また臣として守るべき道義と節度。

 行動のよりどころとなる道理。また、事を起こすにあたっての根拠。

出典:デジタル大辞泉「大義名分」

時代劇などで、「大義であった!」と戦果をあげた家来に主人がいうシーンは定番のシーンではないでしょうか。

そこから転じて、現在は主に2の意味で用いられ、「何か行動を起こす時に、その正当性を主張することができる拠りどころとなるもの」を表す語となっています。

#2 「大義名分」の使い方・例文

次に、「大義名分」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「高齢の両親に代わって実家の家業を継ぐという大義名分を立て退職を申し出る」

「今更内定を辞退するには相応の大義名分が必要になるだろう」

「資格の取得を大義名分に有給休暇を取得する」

「会社は存続のための経費削減という大義名分で大幅なリストラに踏み切った」

「結果をもたらしてこそ、会社の慣例を覆した大義名分がたつというものです」

「あの政治家は、大義名分を掲げていた割には、いざとなると保身にはしりがっかりした」

「大義名分」という言葉が生まれた時代背景は?

「大義名分」とはその響きには、武家社会に密着した言葉の香りがします。この言葉をもう少し理解するために、百科事典から言葉のなりたちを少し学んでいきましょう。

 

江戸時代の水戸学的な思想の場でつくられた概念。しかし、この合成語が普及したのは近代で、江戸期にはさほど使われてはおらず、水戸学の文献には,必要に応じて諸概念がばらばらに用いられるのが散見できるのみ。〈大義〉は大きな正義の意、〈名分〉は君臣の名と上下の分の意で、合わせて君臣関係を名として保持するところに階層秩序の備わる正義の場だとする考え方が、この言葉で指示されているでしょう。義は礼楽に属するとした徂徠学の見解が水戸学の基底にあったことを勘案すれば,大義とは秩序が実現しうる究極の制度を意味します。

出典:世界大百科事典 第二版

君臣の関係を名で持ち道義と節度をもって行動するようにする。そこにこそ階層秩序に備わる正義の場があるとしています。逆に、大義名分がたつことによって、その行動は道義的にも正しいことであるという裏付けがあるものとして、認識されたということでしょう。

「大義名分」の類義語とは?類語・反対語は?

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では次に、「大義名分」の類義語について見ていきましょう。

この言葉と似た意味のある語には、以下のようなものが挙げられます。

口実(こうじつ)

まず、「口実」には以下の意味があります。

ごまかしや言い訳のためにかこつける理由。また、そのことば。

出典:明鏡国語辞典「口実」②

 言い逃れや言いがかりの材料。また、その言葉。

日ごろよく口にする言葉。言いぐさ。

出典:デジタル大辞泉

つまり、「何かをごまかしたり言い訳をするために他のことを結びつけてそれを理由とすること」を表します。

個人的な理由でも「仕方のないこと」と周囲も承知してくれる事柄の場合、用いることに問題はないでしょう。

「大義名分」の方が、自分の都合であったとしても、それが皆にとっても有益なことだと印象づけるような行いについて使うものなので、その点を意識して使い分けてください。

それでは、「口実」の使い方を例文をとうして見ていきましょう。

「家族の病気を口実にして仕事を休む」

「多忙であることを口実にその仕事の依頼を辞退した」

「虫歯の痛みを口実に、苦手な食事を辞退した」

「実家から送られてきたお土産を口実に、気になる同僚に声をかけた」

名目(めいもく)

次に、「名目」には以下の意味があります。

名称。呼称。特に、表向きの名称。みょうもく。「名目だけの重役」

表向きの理由。口実。「名目をつけて断る」

出典:デジタル大辞泉

つまり、「取り繕った表面上の理由」を表し、以下のように用いることができます。

もとは1の意味「表向きの名称」が転じたものでしょう。

これもまた、「大義名分」よりも明らかに、裏の事情を隠し持っているということが言葉のニュアンスで伝わります。

それでは「名目」の使い方を例文で見ていきましょう。

「エコを名目にペーパーレス化や節電に取り組み経費を節約する」

「何かの節目にあたる年には同窓会という名目で旧友たちと集まっている」

「祝賀会という名目で声をかけたが、実際は対立している双方が顔を合わせる機会を設けた」

「仕事の相談という名目で、学生時代の先輩を呼び出した」

詭弁(きべん)

「大義名分」が何か行動を起こす時に、その正当性を主張することができる拠りどころとなるものとすると、詭弁はその派生した類語と言えます。ニュアンスは異なり、場合によっては反対語にもなりうる言葉でしょう。

それでは、「詭弁」の意味と例文をご紹介します。

道理に合わないことを強引に正当化しようとする弁論。こじつけ。

 《sophism》論理学で、外見・形式をもっともらしく見せかけた虚偽の論法。

出典:デジタル大辞泉

「突然現れた来客に、店番もろくにできない自分の不甲斐なさを忘れるために詭弁を弄した」

「夢だ、憧れだ、周りの期待だ、などと私の詭弁は底をついた」

「つらそうに目を背けている彼をみると、詭弁を拒むことができなかった」

「大義名分」は行動の正当性を示す拠り所と言えますが、「詭弁」はそもそも道理に合わないことを強引に正当化するための弁論です。使う場合は、「詭弁を弄する(ろうする)」。

すでに紹介した「名目」や「口実」は、裏の別の理由がある時や行動するための理由付けをする時に使うことができる言葉です。動機を主張するという意味では同じかもしれませんが、「そもそも道理にかなわない」時のこじつけは「詭弁」を用いましょう。またその行動に正当性が間違いなくあること時は「大義名分」、ない時は「詭弁」と理解し使い分けてください。

「大義名分」は胸を張り語れる行動動機 周囲に納得感を与える大義を掲げるのが大切でしょう

以上、「大義名分」の意味と使い方、類義語についてまとめました。

この言葉は、主に「何か行動に起こす時の根拠」となることを表し、たとえば行動に起こそうとする事柄について、周囲の理解や協力を得るなどで、その行為が正当であることを周囲に示す理由が必要だという場合に、「大義名分を立てる」などの形で用います。

また「口実」「名目」も同じような意味がありますが、これらは「何かをごまかすことなどを目的に他の事柄をそれと結びつけて理由とすること」(つまり本当の理由を隠すために他の事柄にすり替える)「表面上の理由」(実態は何であれ上辺を繕う理由)を表し、正当性を主張するものである「大義名分」とは異なる意味でしょう。

そして、反対性にあるのが「詭弁」です。道理にのっとらない理由をこじつけで正当性を主張する場合に用いる言葉になります。

それぞれ違ったニュアンスがありますが、何かの行動についての理由について表す場合には、これらの語を場面に応じて使い分けていきましょう。

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