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「奇をてらう」の意味と使い方・例文・類義語は?現役ライターがサクッと解説

「奇をてらう(奇を衒う)」(読み方:「きをてらう」)という言葉は、「奇をてらって~する」などの形でよく用いられています。

しかしながら、この言葉が具体的にどのようなことを表すのか、また近い意味の語には他にどのようなものがあるのか、疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「奇をてらう」の意味と使い方、また類義語などについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「奇をてらう」の意味と使い方・例文・類義語

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それでは、「奇をてらう」の意味と使い方、また類義語などについて説明していきましょう。

「奇をてらう」の意味は?

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まず、「奇をてらう」には以下のような意味があります。

わざと変わった事をして、他人の注意をひきつけようとする。

出典:精選版 日本国語大辞典「奇を衒う」 

つまり、「故意に変わった言動をして他人からの注意を引こうとすること」を表す言葉です。

「奇をてらう」の「奇」は、「珍しいこと」「不思議なこと」を表す字で、「奇人」「奇行」のような使い方をします。

「てらう(衒う)」とは、「自分の才能などをことさらにひけらかす」「実際以上によく見せかける」の意味を持つ表現です。

「玉を衒いて石を売る」ということわざがあります。

これは、高価な玉を見せびらかしておいて、最後には値打ちのない石を売りつけるということから、「値打ちのあるように見せかけて、実際は粗末なものを売る」という意味です。

このことから、「奇をてらう」には「本当は才能がないのに」というニュアンスを含みます。

「奇をてらう」の使い方・例文

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「奇をてらう」を使った例文は、次のようになります。

「彼はお見合いパーティーで奇をてらった振る舞いをすることで女性たちの注目を集めようとした」
「彼は人に注目されることが好きで何かにつけて奇をてらったことをする」
「彼女は合コンに着物を来て行ったらしいが、いかにも奇をてらったように思われて男性陣には好評ではなかったようだ」
「彼は一緒にお昼を食べに行くと、奇をてらってかたいてい激辛ラーメンのような人と違ったメニューを注文しては得意そうにしている」

「奇をてらう」の類義語

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次に、「奇をてらった」の類義語について見ていきましょう。

この言葉と似た意味を持つ語には、以下のようなものが挙げられます。

「奇抜」

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「奇抜(きばつ)」には、次のような意味があります。

思いも及ばないほどすぐれていること。また、人の意表をつくほど風変わりなこと。

出典:明鏡国語辞典「奇抜」

「奇抜」は、「意外なほどに普通とは異なること」を表す言葉です。

「ひときわ優れている」「抜きんでて優れている」という意味も持っているところが、見せかけだけの「奇をてらう」とは異なります。

「奇抜」を使った例文は、次の通りです。

「ファッションショーの映像に登場する常軌を逸する奇抜なデザインの服を見て唖然とする」
「最近は奇抜な味のお菓子やカップ麺がたくさん発売されているが、王道的なものが一番良いと思う」

「突飛」

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「突飛(とっぴ)」には、次の意味があります。

ふつうでは考えられないほど変わっているさま。きわめて風変わりなさま。

出典:明鏡国語辞典「突飛」

「突飛」は、「一般に考えられないほど、はなはだしく普通とは違っている様子」を表す言葉です。

「常識に反している」というニュアンスを含み、次のように使います。

「彼は直属の上司では話にはならないと思ったのか、社長に直談判するという突飛な行動に出た」
「その時の彼は一目惚れした彼女にいきなりプロポーズをするという突飛な行動に出かねなかった」

「エキセントリック」

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「エキセントリック」には、次のような意味があります。

性格などが風変わりなさま。奇矯(ききょう)なさま。

出典:小学館「エキセントリック」

「エキセントリック(eccentric)」は、「性格や行動がひどく風変わりなさま」を表す言葉です。

「中心から外れた」を意味するギリシャ語から来ていて、そこから「変わり者」を表す言葉になりました。

使い方は、次の通りです。

「彼は目立ちたがり屋なので、いつもエキセントリックなヘアスタイルをしている」

「あなたが選んでくれた服はエキセントリックだから恥ずかしくて着られない」

「奇矯」

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「奇矯(ききょう)」とは、次の意味を持つ言葉です。

言動が普通と違っていること。また、そのさま。

出典:小学館「奇矯」

「奇矯」は「言動などが普通の人とはひどく違っているさま」を表す言葉です。

似たような言葉である「奇行」との違いは、「奇行」が「風変わりな行動」を表すのに対して、「奇矯」は「言動が普通とは違っていること」を表すところにあります。「奇矯な振る舞いをすること」が「奇行」になるというわけです。

「奇矯」は、次のような使い方をします。

「そんな奇矯な振る舞いばかりしていると、周りから変な目で見られるよ」

「その芸能人は、数々の奇矯な行動で注目を浴びた」

「受け狙い」

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「受け狙い(うけねらい)」という言葉には、次のような意味があります。

 大衆の支持を得ようとして、迎合するような発言をすること。また、その言葉。

出典:三省堂「受け狙い・受狙い」②

「受ける」という言葉が「人気を得る」「おもしろく感じられる」の意味を持つことから、「受け狙い」は「笑ってもらおうと意識して発言すること」「迎合すること」を表す言葉です。

「奇をてらう」には「受け狙い」のように「笑ってもらおうとする」わけではないというのが異なる点ですが、人の注意を引こうとするという意味では類義語にあたります。

「受け狙い」の例文は、次の通りです。

「仲間たちからのプレゼントは明らかに受け狙いだったけど、おもしろくてうれしかった」

「あの先生の発言はいつも受け狙いで、かえって白けてしまう」

「奇をてらう」の対義語

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では、「奇をてらう」の反対の意味を持つ言葉には、どのようなものがあるのでしょうか。

「奇をてらう」を「風変わりなことをすること」と捉えると、その対義語には「無難」「平凡」「普通」「一般的」となります。

 

「奇をてらう」は独特の表現

以上、「奇をてらう」の意味と使い方、類義語などについてまとめました。

この言葉は「普通とは異なることを見せびらかす」、つまり「わざと変わったことをして他人からの注意を引くこと」を表し、「奇をてらって~する」などの形で用いられています。

そして、類義語には「奇抜」「突飛」といったものがありますが、これらは「一般には考えられないほどに普通とは異なっていること」を表し、前者は服装や行動などが普通とは違ってそれに周囲が驚かされる様子、後者は手順や段階を飛ばして何かを行うような常識から外れた行動について述べる場合などに用いられる言葉です。

「奇をてらう」と似たような意味を持つ言葉にはいくつかありますが、上記のようにその意味は微妙に異なり、言い換え表現ができるほどのものは見当たりません。ですから、「奇をてらう」というのは独特の表現だと言えるでしょう。

ここで紹介した言葉を使う際には、それぞれの正しい意味を確認して使い分けるようにしてください。

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konomianko