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「黎明」の意味と使い方・例文・「暁」「日の出」との違いは?現役ライターがサクッと解説

「黎明」(読み方:「れいめい」)という言葉は、端的にいうと「夜明け」を意味する言葉です。それと共に新しい時代の到来、幕開けを感じさせる言葉で、「~の黎明期」「黎明を告げる」などの表現を目にすることも多いのではないかと思います。しかしながら、目にしたことはあってもこの言葉の成り立ちや意味について曖昧だったり、もしくは近い意味のある「暁」「日の出」といった語との使い分けに疑問を持った方もいるのではないでしょうか。私もその一人です。
日々季節の移ろい、自然の変化を観察している和菓子やの娘として、ここでは毎日訪れる朝に敬意を表しつつ、「黎明」の意味と使い方、また「暁」「日の出」との違いを皆様と共に学んでいきたいと思います。

「黎明」の意味と使い方・例文

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それでは、はじめに「黎明」の意味とその使い方をご説明します。

「黎明」の意味は?

まず、「黎明」には以下のような意味があります。

1.あけがた。よあけ。

2.比喩的に、新しい時代・文化・芸術など、物事の始まり。

出典:広辞苑「黎明」

「黎明」のという漢字は、「くろ、くろい、くらい」という意味です。他にも「多い」など複数の意味を持ち、類義語も様々ありますが、黎明で使われているところは、闇や夜とほぼ同義と思っていただいて良いでしょう。黎明は、闇が明るくなる様子、つまり「夜が明けようとするころ」という意味になり、さらに「(暗い時代が終わり)新しい時代や物事が始まろうとしているころ」をたとえて用いられています。

「黎明」の使い方・例文

次に、「黎明」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「その作品には、黎明の空の青と地平線に伸びる朝焼けのオレンジからなる美しいグラデーションが映し出されていた」

「スマートフォンの黎明期にはWindowsMobileやBlackBerryといったOSが主流だったが、現在ではAndroidとiOSがシェアのほとんどを占めている」

「その企業のシンプル過ぎるデザインのホームページはインターネット黎明期を思い起こさせる」

「明治初期は急速に西洋文化が取り入れられ、近代化の黎明を告げた時代だ」

「暁」「日の出」との違い

では次に、似た意味のある「暁」「日の出」という語との違いについて見ていきましょう。

まず、これらの語には以下の意味があります。

夜が明ける前のほの暗いころ。明け方。夜明け。

念願が実現した、その時。

出典:明鏡国語辞典「暁」

 

日の出

朝日が東の空に昇り出ること。また、その時。天文学的には、太陽の上緑が東の地平線にくる瞬間。

朝日の昇るように、勢いの盛んなこと。

出典:広辞苑「日の出」

そして、これらの語と「黎明」の使い方を比較すると以下のようになります。

「優勝した暁には全国的に名の知れた選手となるだろう」(優勝したその時には、全国的に名の知れた選手となるだろう)

「その時見た暁の空は印象的な光景だった」(その時に見た、夜が明ける前の薄暗さの中に東の地平線が明るくなるってくる時分の空は印象的な光景だった)

 

日の出

「そのチェーン店は日の出の勢いで店舗を増やしている」(そのチェーン店は朝日が昇るような盛んな勢いで店舗を増やしている)

「早起きをして初日の出を拝む」(早起きをして元旦の空に朝日が昇り出るのを拝む)

 

黎明

「その企業は業界の黎明期から生き抜いた実績のある会社だ」(その企業は業界が発展するよりも前の段階から生き抜いてきた実績のある会社だ)

「余裕をもって黎明には出発することにした」(余裕をもって夜が明けようとするころには出発することにした)

夜から朝へ。暁・日の出・黎明の言葉の「視点」

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「黎明」「暁」「日の出」の意味から、それぞれ同じ夜から朝になる時間帯を表す言葉であることはわかりましたが 、例文をご紹介したことで、ニュアンスの違いを感じられたでしょうか。同じ夜明けの言葉であってもタイミングの違い、その言葉の主役が異なっているために、意味合いが変わってきています。言葉の視点にたって考えてみることでポイントを押さえましょう。

「暁」の主役は「東の空」と言えます。まだそこには太陽の姿は見えていません。暁が指す「夜が明ける前のまだ薄暗いころ、東の空が明るくなってくるころ」はまだ太陽は見えないけれど、存在を感じることができます。そして明るんできた東の空から西の空に目をやると、そこはまだ夜がはっきりと残っているのではないでしょうか。これから来る日の出を待つ時間です。

続いて「日の出」は「朝日が昇り出ること(もしくは朝日が昇る時)」、この言葉の主役はまさしく「太陽」ではないでしょうか。地平線が少し明るくなり太陽の存在を認識すると、一気に赤々と登って、気づいた時には夜は去り、朝を迎えています。すべてを明るく照らす太陽の姿がはっきりと見える時が日の出でしょう。

そして、「黎明」は「夜が明けて朝になろうとするころ」。その主役は夜空もしくは私たちが住む世界です。現在、都市部は明るいのが常ですが、電気がなければ照らすのは月と星のあかりのみ。雲がかかった日などは真っ暗の闇で周りも見えなくなるのではないでしょうか。暗が、明に変化する、その大きな場面転換が「黎明」という言葉で表現されています。空が明るくなり始め、今まで見えなかった周囲を見渡せたとき、そのシーンの主役は、光で照らされた空・海・大地と言えるのではないでしょうか。

上記の例文のとおり、「暁」「日の出」「黎明」は、意味・ニュアンスの違いをふまえて、人生、また時代の変化やそのタイミングを例える言葉としてそれぞれ使われています。

その意味は、「(暁)いつも思い願っていたことが叶った時」、「(日の出)勢いが強いこと、その時」、「(黎明)物事の始まり」ですが、「暁」「日の出」「黎明」に言い換えることでより感性に訴えかける美しい文、もしくは力強い文章になりますので、押さえておきましょう。

黎明期とその他の時代の意味の違いについて

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黎明という言葉は、例文にもある通り「黎明期」という表現も一般的です。「はじまりの時」を表すこの言葉と同じように、その時代の特徴を表す言葉を確認してみましょう。

はじまりの時。黎明期、草創期、萌芽期 (初期)

時代の初期を表す言葉を見ていきましょう。

草創期

草分け、創めなどというように、活動・今までにないアクションを起こした初期を表します。

萌芽期

芽が萌えるという字の通り、植物が芽を出す時期。人間でいうところの「誕生」して新しい人生をはじめた初期と言えるのではないでしょうか。

黎明期

上記と比較すると、暗い時代から次の新しい時代に変わる始まりの時。なのでこの時代の前が「暗い」というのが他の言葉と意味合いが異なる点だと思います。

変化の過程。過渡期・成長期・発展期

次に中期、というより新しい時代が確立されるまでの過程の時期を表す言葉を見ていきましょう。

過渡期

「かとき」と読み、変化しはじめ、混乱・葛藤などが現れる時期を指すことが多いです。変わることが容易ではないという意味も含んでいるようで、大きな分岐点のような印象も伴うでしょう。

成長期・発展期

ぐんぐんと成長していく時期を指し、人が一気に大人の体に成長する際や、スキルがアップする時などによく用いられます。時代という意味では、過渡期をすぎ、混乱も落ち着き、一挙に発展していく時期と言えるでしょう。

変化を成し遂げた、全盛期・成熟期・絶頂期

新しい時代に変わり、安定し、栄えている時代を表す言葉を紹介しましょう。

全盛期

最大に繁栄している時、または生産性も上がっている時です。後年、振り返って繁栄していた時期に名付けているケースが多いでしょう。

成熟期

人の成長でいうところの、成長期の次にくる成人がこの時期にあたります。大きな変化というよりも、より質の高いものへと深める時期といえるのではないでしょうか。

絶頂期

物事の最高の状態を表す時期です。特に人生において成功を謳歌している時期によく用いられ、山でも頂のあとはまた下るしかないように、このあとの時代が下降していくことを含んで使われているように見受けられます。

希望をもって未来を開く、闇に明かりが指す、それが黎明

以上、「黎明」の意味と使い方、「暁」「日の出」について、そして「黎明期」やその他の時代についてまとめました。

 

この言葉は「夜が明けようとしているころ」「物事の始まり」といった2つの意味があり、「黎明の空」(夜が明けようとしている時の空)「黎明期」(新しい時代が始まろうとしている時期)などの形で用いられています。

「暁」にも近い意味がありますが、この場合は「まだ夜が明ける前のほの暗いころ」(つまり黎明よりも時間的に前の段階)で、たとえて使う場合も「一途に願っていたことが叶った時」を表し、黎明よりも瞬間的と言えるでしょう。

そして「日の出」は「朝に太陽が昇る時」「勢いが盛んなこと」をいいます。それぞれ違ったニュアンスがあるため、場面にあわせ、使い分けていきましょう。

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