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「余韻」の意味と使い方・例文・「名残」との違いは?現役ライターがサクッと解説

「余韻」(読み方:「よいん」)という言葉は、「余韻のある~」「余韻に浸る」などの形でよく用いられています。

さまざまな場面で使われる言葉ではありますが、具体的にはどのようなことを表しているのか、また近い意味を持つ「名残」とはどのような違いがあるのか、疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこで、ここでは「余韻」の意味と使い方、また「名残」との違いなどについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「余韻」の意味と使い方・例文・「名残」との違い

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それでは、「余韻」の意味と使い方、また「名残」との違いなどについて説明していきましょう。

「余韻」の意味は?

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まず、「余韻」には以下のような意味があります。

音の消えたあとまで残る響き。
転じて、事が終わったあとも残る風情や味わい。また、詩文などで言葉に表されていない趣。余情。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「余韻」

つまり、「(楽器や鐘の音など)ある音が消えた後にも残って聞こえてくる音」「物事が終わった後に残る味わいや趣」「文芸作品などにある言葉に表されていない趣」を表す言葉です。

「余韻に浸る」「余韻を残す」「かすかな余韻」といった形でよく使われます。

「余韻」の使い方・例文

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次に、「余韻」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「大晦日の静かな夜の闇に余韻嫋々たる除夜の鐘の音が鳴り響いた」

「試合が終わった後、彼は一日中初勝利の余韻に浸っていた」

「その作家の作品にはどれも独特の余韻がある」

「ロマンティックな恋愛映画を見た後にうっとりとその余韻を味わう」

1番目の例文にある「余韻嫋々(よいんじょうじょう)」とは、「余韻嫋嫋」「余音嫋嫋」とも書き、「嫋々」で「音が細く長く響く様子」を表します。

音だけでなく、出来事や文章などの余情についても使われる表現です。

「名残」との違い

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では次に、似た意味を持つ「名残」という語との違いについて見ていきましょう。

まず、「名残」には以下の意味があります。

物事の過ぎ去った後、なおその気配や影響などの残ること。余韻。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「名残」②

「名残」はもともとは「余波」と書き、「波残り(なみのこり)」から来ている言葉で、波が打ち寄せた後の余韻を表していました。

そして、「名残」と「余韻」の使い方を比較すると以下のようになります。

「名残」:「先日のゴルフ旅行の名残で腕に日焼けの痕がついてしまった」(先日のゴルフ旅行でできた日焼けが旅行の後にも残り、腕に日焼の痕がついてしまった)

「余韻」:「心温まるヒューマン映画を見終わった後に心地良い感動の余韻に浸る」(心温まるヒューマン映画を見終わった後に、心に残っているしみじみとした心地良い感動に情に浸る)

つまり、「名残」は「ある物事が終わってすでに過去の事となった後にも、そのことによる影響などがまだ残っていること」、「余韻」は「ある物事が終わった後にも存在している趣や味わい」を表すというニュアンスの違いがあります。

その他の類義語

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では、「名残」の他に「余韻」と似た意味を持つ言葉には、どのようなものがあるのでしょうか。

古くから日本人は「余韻」を味わうことを大事にしてきました。すべてを言葉にするのではなく行間を読む短歌や、ゆっくりした動きの茶道など、日本の文化にはそれが表れています。

そのような意味での「余韻」の類語を紹介しましょう。

「風情」

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「風情(ふぜい)」には、次のような意味があります。

風流・風雅の趣・味わい。情緒。

出典:小学館「風情」

「風情」は「ふうじょう」とも読み「味わいのある感じ」を表しますが、個人の感じ方によって異なるため、「こういうものである」と定義するのが難しい言葉でもあります。

例文は次の通りです。

「観光客を避けて裏通りに入ると、風情のある街並みが現れた」

「浴衣にうちわを持って夕涼み。風鈴の音と蚊取り線香の煙って風情があるよね」

「わびさび」

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「わびさび」には次のような意味があります。

茶道・俳諧などにおける美的理念の一。簡素の中に見いだされる清澄・閑寂な趣。中世以降に形成された美意識で、特に茶の湯で重視された。

出典:小学館「侘び(わび)」①

古びて味わいのあること。枯れた渋い趣。

出典:小学館「寂(さび)」

「わびさび」はよくセットで使われる言葉ですが、「わび」と「さび」とでは意味が異なります。

「わび」は「閑寂な風趣」「閑居を楽しむこと」、「さび」は「さびる」「衰える」「古びて趣がある」ことを表す言葉です。

「さび」の美しさを楽しもうとする心が「わび」で、「わびさび」で「質素でありながらも静けさなどを美しく感じること」を表します。

物事を完成させずに終わらせることで、見る者の想像力を働かせるというところが、「余韻」と似ていますね。

「わびさび」を使った例文は、次の通りです。

「150年前に建てられたというこの古民家には、わびさびが感じられる」

「この器は華やかさはないけれど、わびさびの美しさがある」

「趣」

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「趣(おもむき)」が持つ意味は、次の通りです。

そのものが感じさせる風情。しみじみとした味わい。

 全体から感じられるようす・ありさま。

出典:小学館「趣」①②

「趣」にはいくつかの意味がありますが、「余韻」と似ているのは「しみじみとした味わい」の意味でしょう。

「おもむき」は、「心が向くところ」ということからさらに発展して、「心を向かわせるおもしろい事柄」になりました。「趣味」に「趣」の字が使われていることからも、その意味がわかりますね。

「趣」を使った例文は、次の通りです。

「この画家は有名ではないけれど、何とも形容しがたい趣があるから私は好きだ」

「その観光地は紅葉がきれいなことで知られているが、冬枯れの景色がまた趣があって良い」

「興奮さめやらぬ」

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「興奮さめやらぬ」には、次のような意味があります。

興奮して昂ぶった感情が、最高潮から落ち着きつつあるものの完全に落ち着いてはいないさま、まだすっかり冷めてはいない様子、などを意味する表現。

出典:実用日本語表現辞典「興奮さめやらぬ」

「興奮さめやらぬ」は、「ものごとが終わったにも関わらず、興奮がまだ完全には覚めきっていない様子」を表す表現です。

「興奮さめやまぬ」というのは間違った言い方ですので、気を付けましょう。

「興奮さめやらぬ」を使った例文は、次のようになります。

「彼女は昨夜立ち寄った居酒屋で、偶然憧れの芸能人に出会って握手までしてもらったと言って、まだ興奮冷めやらぬ状態だ」

「受賞の連絡を受けて興奮冷めやらぬまま、インタビュー会場へと連れて行かれた」

「余韻」はものごとが終わった後に残る味わい

以上、「余韻」の意味と使い方、「名残」との違いなどについてまとめました。

「余韻」には複数の意味がありますが、主に「ある音が消えた後にも残っている響き」「物事が終わった後に残る味わい」をいい、「余韻が漂う」「余韻に浸る」などの形で用いられています。

また「名残」にも同じような意味がありますが、こちらは「ある物事が終わった後にもその影響などが残っていること」を表すところが「余韻」とは違っていて、「ハワイ旅行の名残の日焼け痕」「名残の雪」などの形で使うことができる言葉です。

ものごとが終わってしまってもその影響が何らかの形で残っているものや、終わった後に心に深く感じる味わいがあるものについていう場合に、これらの言葉を適切に使い分けられるようにしておきましょう。

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konomianko