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「静寂」の意味と使い方・例文・類義語は?現役ライターがサクッと解説

「静寂」(読み方:「せいじゃく」)という言葉は、「静寂に包まれる」「静寂を破る」などの形でよく用いられています。

さまざまな場面でよく使用されている言葉であり、目にしたこと、使ったことも一度はあるのではないでしょうか。具体的にはどのようなことを表すのか、また他に近い意味の語にはどのようなものがあるのか、中には疑問に思うことがあるかもしれません。
そこで、ここでは「静寂」の意味と使い方、また類義語にあたる言葉について説明していきます。

「静寂」の意味と使い方・例文

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それでは、まず「静寂」の意味を理解し、その使い方を例文を用いて説明していきましょう。

 

「静寂」の意味とは?

まず、「静寂」には以下の意味があります。

 

静かでさびしいこと。物音もせず、しんとしていること。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「静寂」

物音一つなく静まり返っていること。ひっそりとして寂しさのあること。また。そのさま。

出典:日本語表現インフォ

 

 静かでさびしいこと。また、そのさま。じょうじゃく。せいせき。

出典:精選版 日本国語大辞典(発行所 株式会社小学館)「静寂」

「寂」は訓読みで「しず(か)」とも読めます。つまり、この静寂とは「しずか」という意味の字を重ね、「静けさ」が強調された熟語ということがわかるでしょう。よって「物音などがせず寂しいこと」「物音などがなく静まり返っていること」を意味しています。反対語として代表的なのは「喧騒」。

主に、周囲の環境を表す時に用いられますが、心中を表す際に用いられることもあるので次に見ていきましょう。

「静寂」の使い方・例文

次に、「静寂」の使い方を例文を使って見ていきます。

例文をいくつか挙げますので、情景を思い浮かべ使い方を考えてみましょう。

「物音一つない夜の静寂は、考え事をするには最適だ」

「静寂を破るように、救急車がサイレンを鳴らしながら通り過ぎていった」

「都会の喧騒から逃れて、静寂に包まれた田舎の宿で寛いだ時間を過ごす」

「ついさっきまで友人達と飲んで騒いでいたが、誰もいない静寂に包まれた部屋に帰ると、途端にどことなく虚しい気持ちになった」

「手芸をしている時、私の心は静寂に包まれ、没頭することができる」

「静寂」せいじゃくとしじまの違いは?

「静寂」という熟語には、今回取り上げている「せいじゃく」の他に「しじま」という言葉があります。

「しじま」という言葉を辞書で紐解くと次のようにありました。

物音一つせず、静まりかえっていること。
口を閉じて黙りこくっていること。 
出典:大辞林 第三版(発行所 三省堂株式会社)
 
上記の通り、静寂と全く同義語ではなく、異なる意味も持っているので、そこを注意しましょう。音を発するものが、敢えて口を閉じ、黙りこくっている様子を「しじま」は表現しています。言い換える際には「沈黙」がこの意味では適切でしょう。例文で使い方を見ていきましょう。
 
「悲劇のあとの静寂(しじま)を映し出した写真だ」
「夜の静寂(しじま)に月が映える」
 
筆者の主観ですが、しじまは歌の歌詞に多く用いられ、耳から覚える頻度が多い言葉でしょう。そのため漢字表記が「静寂」であることをご存知ない方もいるかもしれません。
あわせて、覚えていただき、使い分けられるようになっていきましょう。
 

「静寂」の類義語

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では次に、「静寂」の類義語について見ていきましょう。

この言葉と似た意味のある語には、以下のようなものが挙げられます。

 

#1 しんと

まず、「しんと」には以下の意味があります。

静かで、音や声がまったく聞こえないさま。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)

 

静まりかえって物音のしないさま。しいんと。

寒さや音などが身にしみとおるさま。 

出典:大辞林 第三版(発行所 株式会社三省堂)

つまり、「声や音が聞こえず騒がしさのない様子」をいい、以下のように用いることができます。

また「しいんと」と「しんと」は同義語ですが、よりに強調した言い方が「しいんと」と言えるでしょう。

「いきなり非常ベルが勢いよく鳴り響き、一瞬辺りはしんとなった」

「まだ誰も出勤していない早朝のフロアはしんと静まり返っていた」

#2 閑寂(かんじゃく)

次に、「閑寂」には以下の意味があります。

もの静かで、落ち着いていること。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「閑寂」

もの静かなさま。静かで趣のあるさま。かんせき。

 蕉風俳諧の美的理念の一。さび。

出典:大辞林 第三版(発行所 株式会社三省堂)「閑寂」

つまり、「ひっそりとしていて穏やかなこと」をいい、「趣」を感じられること、文化的な印象があるのが閑寂です。そして、静寂よりも穏やかな空気を表現した言葉ではないでしょうか。その点が静寂との違いであり、言い換えるとすれば「閑静な〜」や「平静」という語が閑静と同じニュアンスを表現できる言葉です。

例文を見ていきましょう。

「境内には樹齢数百年にもなる樹木が生い茂り、閑寂とした雰囲気だった」

「その宿は、山荘をイメージさせる風情ある閑寂な趣があり、和の雰囲気を心ゆくまで味わうことができる」

#3 静謐(せいひつ)

次に、「静謐」には以下の意味があります。

 静かで落ち着いていること。また、そのさま

世の中が穏やかに治まっていること。また、そのさま

出典:デジタル大辞泉(発行所 株式会社小学館)

「落ち着いている」、「治められている」という状況を指したことばです。つまり「整った様子」という管理がされた上での静けさがこの言葉にはあるのではないでしょうか。また閑寂と同じく穏やかな様子を表す語で、その点が静寂との違いです。くわえて、威厳や厳格を伴う言葉で、口語ではあまり使われることはありません。

例文を見ていきましょう。

「参道を歩み、本堂へ向かう時間は、なんとも静謐な時間だ」

「偉人の書斎があまりに静謐で感銘をうけた」

まとめ:寂しさをたたえる空間に、心惹かれる日本人の美意識を表した言葉「静寂」

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以上、「静寂」の意味と使い方、類義語についてまとめました。

この言葉は「物音がせず静かなこと」「静かで寂しいこと」をいい、主に物音などが全くなく静まり返り、寂しさを湛えた空間を表現とよいでしょう。「静寂に包まれる」「静寂を破る」といった形で用いられています。

近い意味の語には、「しんと」「閑寂」「閑静」「平静」「静謐」といったものがありますが、微妙に意味や使い方が異なるため、場面によって適切に使い分けるようにしましょう。「しんと」「閑寂」「閑静」「平静」「静謐」は「物音などがまったく聞こえず静かな様子」「静かで落ち着いている様子」をいいます。どれも寂しさよりも穏やかさを表現しておりその点が静寂とは異なるでしょう。

「しんと」は「しんとなる」「しんとした~」といったように副詞として用い、「閑寂」は静かで落ち着いた、趣のある様子についていう場合に用いられています。「静謐」はより威厳や格式の高いものを表す場合に用いることが多いでしょう。

「わび・さび」という日本の美意識にも含まれる「静けさ」「寂しさ」を表す「静寂」。この言葉の表す美しさを感じて表現できるようになりたいですね。

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