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「出で立ち」の意味と使い方・例文・類義語は?現役ライターがサクッと解説

「出で立ち」(読み方:「いでたち」)という言葉を聞くと、七五三や成人式、結婚式などの晴れ姿を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
「立派な出で立ち」などの形で用いられる言葉で、人の身なりを表す際に耳にすることがよくあります。
「出る」、「立つ」という二つの字で成り立っていることをみると、その身なりに少し気合を感じませんか?
具体的にはどのようなことを表す言葉なのか、その言葉の奥にドラマを感じつつ、皆さんにご紹介したいと思います。
ここではその他の近い意味で使われる語とはどのような違いがあるのかも、併せてご説明していきます。

「出で立ち」の意味と使い方・例文・類義語

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それでは、以下に「出で立ち」の意味と使い方、また類義語との違いを見ていきましょう。

「出で立ち」の意味とは?

まず、「出で立ち」には以下のような意味があります。

1.旅に出かけること。旅立ち。出立(しゅったつ)。
2.外出などの、身支度。また、身なり。よそおい。
出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「出で立ち」

「出で立ち」の使い方・例文

次に、「出で立ち」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「友人同士で集まって空港で彼の出で立ちを見送った」
「今日はたいそうご立派な出で立ちで、どちらへお出掛けですか」
「友人の結婚式に参加した時の彼女は、上品で清楚な印象のワンピースにパールのネックレスという出で立ちだった」
「長期間の海外旅行への出発を前に彼は出で立ちを整えていた」

上記のとおり、「出で立ち」には身なりを表す以外にも「旅に出ることや出発すること」という意味があります。むしろこちらが主たる意味と言っても過言ではないのでしょう。

そもそも「出で立ち」は出発(出立)するという意味の古文の動詞「出で立つ」の活用形です。言葉の理解を深めるために、次に「出で立つ」に少し触れていきたいと思います。

こぼれ話:動詞「出で立つ」について

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古文単語の「いでたつ」はタ行四段活用の自動詞です。(古文が不得意という方は、一情報としてご一読ください)

意味については、出典と併せて下記にご紹介します。

1.出ていって、その先で立つ

「春の園紅にほふ桃の花下照る道に出で立つをとめ」 

出典:万葉集

 

2.出かける、出発する、旅立つ

「只身すがらにと出で立ち侍るを…」

出典:奥の細道 草加

 

3.身支度を整える、出かける準備をする

「刀にいたるまで、照り輝く程にいでたたれたりしかば…」 

出典:平家物語 富士川

 

4.出仕する、宮仕えに出る、出世する

「この道より出で立ちたまへる上達部などは…」

出典:源氏物語 少女

 

5.わき出る、しきりに出る、こぼれ出る

「涙ともすれば出で立つを…」 

出典:源氏物語 浮舟
 

上記のとおり、古文単語出で立つには、「旅にでる」「出世する(世にでる、立身出世)」「宮仕えにでる(出仕)」の意味があり、それは当時の時代背景を鑑みるに、人生において大きな仕事に就く前の大切な心構えを伴う身支度が必要だったのではないか、と推察されます。そこから、「出で立ち」はその装い・身なりをしている本人や周囲の家族の意気込みまでも、その姿に現れているようなものではないでしょうか。

類義語・言い換える言葉としては、旅支度、旅装、身ごしらえが適切だと思います。口語的でなく、使いこなすのには難しいと思われた方もいるのではないでしょうか。そのため、現代においては「外出などのために身なりを整えることや衣服を着た姿、服装」という時には、「出で立ち」が適切な言葉だと思います。自宅での服装には「出で立ち」は相応しくないことも留意しておきましょう。

類義語との違い

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次に、現在「出で立ち」の類義語としてよく使われている言葉を見ていきましょう。

この言葉と似た意味のある語には、以下のようなものが挙げられます。

1.格好(かっこう)

まず、「格好」には以下の意味があります。

すがた、身なり。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「格好」

 

人に対して恥ずかしくない姿・形。整った形。体裁。

ふさわしいこと。似つかわしいこと。また、そのさま。

出典:大辞泉(発行所:小学館)「格好」

つまり、「人の外見、衣服を着た姿やその服装」のことをいいます。「出で立ち」とは異なり、自宅での服装にも使うことができるでしょう。

以下のように用いることができます。

「フレンチレストランに食事に行くのは良いが、どんな格好をしていけば良いか悩む」

「コンビニでばったり出くわした時、彼はいかにも部屋着といった格好のジャージ姿だった」

「到底、家での格好はお見せできません」

「息子は格好いいと言われるように、おしゃれに気を使っている」

同じ読みで「恰好」という漢字表記もありますが、意味・使い方は同じです。

古くは「恰好」と表記しており、その際は「ちょうどいい、ふさわしい」という意味で使われていました。格好の意味として引用した辞書の解説にも「人に会うのにふさわしい姿」とあり、それは「恰好」を使用していた頃からの意味であると考えられます。そこから現在のように「姿・形・体裁」を表す言葉へと派生し使われるようになったため、「格好」という表記がされるようになりました。今ではこちらが定着していますが、どちらを使用しても間違いではありません。

2.服装

次に、「服装」には以下の意味があります。

身につけた衣服や装身具。また、それをつけたときのようす。

身なり。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「服装」

語源は、衣服と装身具(アクセサリーなど)をあわせた人間が身に纏うものの総称です。そこから派生して「それを身に着けた時の様子や姿」も含み「服装」と言うようになりました。同義語としては、服飾・衣装などがあげられ、そのことからあるシーンに合わせ用意した衣服を指していると言えるでしょう。

以下のように用います。

「会社説明会へ参加する時の服装にはリクルートスーツが望ましいだろう」

「当日は動きやすいカジュアルな服装で来てください」

「来場する際の服装のルールのことを《ドレスコード》といいます」

「休日は汚れてもいい服装で、掃除や育児に励んでいます」

出で立ちとは「出陣の時の身なり」。無造作な格好は出で立ちとは言えないかも。

以上、「出で立ち」の意味と使い方、類義語についてまとめました。

この言葉は「旅に出る、出発すること」「身なりを整えることや衣服を着た姿、服装」のことをいいますが、現在は主に後者の意味で「出で立ちを整える」のように用いられています。衣服を着ていれば良いというだけでなく、きちんと準備をされた身なりが「出で立ち」と言うことができ、「立派な出で立ち」と言われるケースは、「その日のために大切に準備をされた装い」だと他者からみても認識できる場合に、その思いに対しても賛辞が送られていると言えるのではないでしょうか。

また近い意味のある語として「格好」「服装」もよく用いられます。これらの言葉が使われる場合には、「人の外見や衣服を着た姿、その服装」、「着ている衣服、着ている時の様子や姿」を指し、様子や受けた印象、着用しているものを説明する際に使われることが多く、出で立ちとは使用するシーンが異なっているのではないでしょうか。

最後に、これらの語の意味には装い・身なりを表しているという共通する部分もありますが、「(出で立ち)外出時の身支度」「(格好)外見(人を外から見た時の様子)」「(服装)衣服を着た時の様子」といったように異なるニュアンスもあるため、適度に使い分け、誤用しないように気をつけましょう。

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