用語

「枚挙」の意味と使い方・例文、「列挙」との違いと言い換え表現を、10年超の現役ライターがサクッと解説!

「枚挙」(読み方:「まいきょ」)という言葉は、「枚挙に暇(いとま)がない」といった形でよく用いられているのを見かけることがあるかもしれません。
たとえば一つひとつ数えていられないほどたくさんある事柄についてを言いたいときに使われる言葉ですが、具体的にはどのようなことを表すのか、また近い意味のある「列挙」とはどのような違いがあるのか、疑問が湧くことがあるかもしれません。そこで、「枚挙」の意味と使い方や「列挙」との違いを生活情報誌など情報誌系のライターを10年経験した筆者がご紹介します。

「枚挙」の意味と使い方

image by iStockphoto

「枚挙」の意味

それでは、以下に「枚挙」の意味と使い方、また「列挙」との違いを説明しましょう。

まず、「枚挙」には以下のような意味があります。

一つ一つ数え上げること。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「枚挙」

つまり、「多くのことを一つ一つ取り上げて分かるように示すこと、一つ一つ数えること」を表す語となっています。

ネガティブな表現ではないのにも関わらず、なぜだかちょっぴり面倒臭いイメージがつきまとうこの表現。スピードが求められる現代社会において、そもそもマニュアルで一つひとつ数え上げることが意味をなさなくなってきているのかもしれませんね。ひょっとしたら、周囲にいませんか?どうでもいい事を一つひとつ挙げ連ねて時間を浪費している人。

さて、現代ではどのようなシーンで使えば良いか、見てみましょう。

「枚挙」の使い方・例文

次に、「枚挙」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「優秀な科学者として知られる彼が遺した功績は枚挙に暇がない」

「その辺りの地域では、スリや窃盗などの小さな事件は枚挙に暇がないらしい」

「効率の良い勉強法は何かと聞かれても切りがないのでいちいち枚挙するのは止めておく」

「世の中で謳われている健康法は枚挙に暇がないほどだが、何でも闇雲に取り入れれば健康でいられるというものではない」

「枚挙」は上記のような形で、一般的に「枚挙に暇(いとま)がない」という言い方で用いられ、この場合には「たくさんありすぎて一つ一つ数えきれないこと」をいいます。

暇がない、というのは「暇(ひま)」という字を使って時間的制約を想起させ、翻ってそのための時間がない、と言わなければならないほど沢山ある、ということを意味しているのです。

では、「枚挙」と似たような表現にはどのようなものがあるのでしょうか。

「列挙」との違い

次に、似た意味のある「列挙」という語との違いについて見ていきましょう。

まず、「列挙」には以下の意味があります。

一つ一つ並べあげること。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「列挙」

もちろん、そのままの言葉としても十分通用しますが、ビジネスワーカーならば現代によく用いられる表現として「リストアップ」という言い方がもっとも思い浮かべやすい言葉かもしれません。

そして、これらの語と「枚挙」の使い方を比較すると以下のようになります。

「列挙」

「サービス向上のために、抱えている課題や問題点を列挙し改善案を出していった」

または、

「サービス向上のために、抱えている課題や問題点を一つひとつ並べあげ、それに対する改善案を出していった」

「サービス向上のために、抱えている課題や問題点をリストアップし、それに対する改善案を出していった」

「枚挙」

「ちょっとのアイディアや工夫で売上が増加したという事例は枚挙に暇がない」

または、

「ちょっとのアイディアや工夫で売上が増加したという事例は枚挙すれば限りがない」

「ちょっとのアイディアや工夫で売上が増加したという事例を一つひとつ数え上げていたら切りがない」

つまり、「列挙」は「一つ一つ数えるようにして並べて言い示すこと」を意味し、数えることが可能なこと、あるいは意味あることを表しています。本来「枚挙」は、「列挙」と同じように「一つ一つ数え上げて示す、取り上げて示すこと」です。

しかしながら「枚挙した」と肯定的な意味で用いる表現は、あまり多くはありません。どちらかといえば「枚挙に暇がない」「枚挙するにない」という否定表現を伴い、「多すぎて一つ一つ数えきれないこと」や、あるいは無限の数をイメージさせる表現として使用されます。しかも「枚挙」で数えあげるという行動は、暗に意味のないことや不可能に近いことを含む表現が多く散見されるようです。

「枚挙」と「列挙」その違いは?

余談ですが、「枚挙」というと、筆者がどうしても連想してしまう物語があります。歌舞伎などでも有名な怪談「番町皿屋敷」です。お家の家宝である十枚揃いの皿の一枚を割ってしまい、その責を取って井戸に身を投げた女中が夜な夜な現れては、「一枚、二枚……」と皿を数え、十枚目を数えるところで「一枚足りない」と涙するあの物語。皿を一枚ずつ数える姿は、まさに「枚挙」と言える姿なのではないかと、思い浮かべてしまうのです。漢字の表す言葉としてはまさにその通りなのですが、本当にそれで正しいのでしょうか。

ここで注意したいのは、一見すると「枚挙」も「列挙」も一つひとつ数えることですが、大きな違いがあります。それは数える物や事となる対象のことです。

「枚挙」は例文にもあるとおり事例についてを述べる表現であり、先出の皿のように物を数える際には使わない表現。「列挙」であれば、事や物について表現できます。この違いに気を付けましょう。

このように見ていくと、「枚挙」と「列挙」は同じような意味を持っていながら、異なる用いられ方をして今日の私たちの生活に浸透しています。

「枚挙」の言い換え4つの表現

先ほどから見てきているように、「枚挙」の言い換えとして「列挙」が挙げられることがわかりました。他にはどんな表現があるのでしょうか。

例文の表現にもありましたが、「一つひとつ並べあげる」や「数えあげる」、または「リストアップ」、「書き連ねる」など言い換えることができます。

「あの俳優の出演作を一つひとつ並べあげた」

「彼女がある一日に行った仕事を数えあげてみた」

「人気の車種をリストアップした」

「顧客が私たちに要求した内容を書き連ねてみよう」

「枚挙」の意味と使い方、「列挙」との違いまとめ

以上、「枚挙」の意味と使い方、「列挙」との違いについてまとめました。

この言葉は「一つ一つ数え上げること」をいい、何かの例などを一つ一つ数えて示すこと、取り上げていくことをいう場合に「枚挙する」「枚挙して~する」といった形で用いることができますが、一般的に「枚挙に暇がない」という形で使われることが多く、この場合は「多すぎて一つ一つ数えきれないこと」を表します。

そして、たとえばある事柄が数えきれないほどたくさんある、それは挙げていったら切りがない、といったことについていう場合に用いられる表現です。

また、「列挙」は「一つ一つ並べあげること」をいい、ある事柄を数えるようにして並べ立てて言う場合に「~を列挙する」といった形で用いることができます。

これらの語は近い意味でも使い方や意味が微妙に異なるため、適切に使い分けるようにすると良いですね。

Share:
pipipron