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「怒り心頭」の意味と使い方・例文・類義語は?現役の校正者がサクッと解説!

「怒り心頭」(読み方:「いかりしんとう」)という言葉は、「怒り心頭に発する」という形でよく用いられています。

ひどく怒ることについていう場合に使う言葉ですが、具体的にどのような使い方をするのか、また他に近い意味の語にはどのようなものがあるのか、中には疑問が浮かぶこともあるかもしれません。

そこで、ここでは「怒り心頭」の意味と使い方、類義語について説明していきます。
これまで数多くの小説や記事の校正を担当してきた筆者が解説します。

始めに「怒り心頭」の由来について

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激しい怒りを表す時に「怒髪天を衝く」や「頭に来る」「頭に血が上る」など単に激しい怒りであっても複数種類、表現の仕方があります。これらの言葉には頭から怒りが発せられる言葉の共通点が目立っているのですが「怒り心頭」については頭から発した時の怒りを表現するのではありません。

「怒り」が「心」から「頭」にくるというように「怒り心頭」の文字通りに意味合いを見て行くと心から怒りが発するという部分が特徴的である事が分かり易いでしょう。

また、昔の人は心で感じた気持ちが頭に通じて行く事を自然としていて、その感情こそが怒りであるという考え方であったとされています。頭から発された時の怒りよりも、心の底から沸き立つ怒りの方がより強い怒りを感じる為、心の底から怒っている意思表示をする言葉の表現として用いられているのです。

「怒り心頭」の意味と使い方・例文・類義語

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それでは、以下に「怒り心頭」の意味と使い方、また類義語との違いを説明します。

沸き上がる怒りを意味する「怒り心頭」、誤用に注意

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まず、「怒り心頭」は「怒り心頭に発する」という言い方で使われ、以下のような意味があります。

激しく怒る。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「怒り心頭に発する」

つまり、「激しい怒りがわき上がること」を表す語となっています。近年では「怒り心頭に達する」という言い方をされることが多いですが、「怒り心頭に発する」が本来の言い方です。

行動や動作の前に用いられることが多い「怒り心頭」

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次に、「怒り心頭」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「先方の人を見下したような物言いに、さすがの彼も怒り心頭に発したようで、いつになく声を荒げて相手に詰め寄っていった」

「彼は怒り心頭に発して今にも殴りかかりたい衝動に駆られたが、拳を固く握りしめながら必死に自分を抑えていた」

「内心ではすでに怒り心頭に発していたものの、彼は努めて冷静を装ってその場を離れた」

「怒り心頭に発した彼は、唇をわなわなと震えさせながら部下を怒鳴りつけた」

類義語の中には「怒」がつかないものも

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次に、「怒り心頭」の類義語について見ていきしょう。

この言葉と似た意味のある語には、以下のようなものが挙げられます。

激怒(げきど)

激しく怒ること。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「激怒」

つまり、「かんかんになって怒る」ことをいい、以下のように使うことができます。

「彼は子供が教師に殴られたと聞いて激怒し、血相を変えて学校に怒鳴り込んだ」

「彼の浮気に激怒した彼女はみるみる形相を変え、まるで般若のような顔つきになっていた」

憤然(ふんぜん)

はげしく怒るさま。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「憤然」

つまり、「かんかんになって怒る様子」のことをいい、以下のように使うことができます。

「会社からの退職勧奨に納得のいかない彼は、憤然と立ち上がってそのまま部屋を後にした」

「一方的な離婚話に納得のいかない彼は憤然とした様子で部屋を出ていった」

 

「憤怒」(ふんど)

大いに怒ること。出典:三省堂 大辞林

また、乳幼児が、激しく泣いたあとにひきつけを起こす状態を「憤怒痙攣」と言う。出典:実用日本語表現辞典

つまり、「激しい怒り」のことをいい、以下のように使うことができます。

「不条理な事があると自分を見失いそうな程、憤怒に燃えていた」

「大切な人が傷つくと憤怒の念を抑える事が出来ず居た堪れない」

「彼女が憤怒の表情で彼の事を見つめている様子が恐ろしかった」

「憤慨」(ふんがい)

ひどく怒ること。出典:Wiktionary

つまり、「抑えきれない怒り」のことをいい、以下のように使うことができます

「買ったばかりのお気に入りの洋服にシミをつけられて憤慨した」

「急いでいる中で長時間待たされていた上司は憤慨している様子だった」

「壊れ物だから大事に扱って欲しいと注意していた花瓶を落とされ憤慨する」

「憤懣」(ふんまん)

いきどおりもだえること。腹が立っていらいらすること。出典:三省堂 大辞林

つまり、「もんもんとした怒り」のことをいい、以下のように使うことができます。

「物に当たって憤懣を解消する」

「憤懣の気持ちでなかなか落ち着かない」

「憤懣やる方ない思いが渦巻いている」

「思い通りに出来ない事へ段々と憤懣が溜まっていった」

「逆鱗」(げきりん)

目上の人の激しい怒り

(「げき」は漢音。「韓非子説難」による。)竜のあごの下にある一枚の逆さに生えたうろこに人が触れると竜が大いに怒るという伝説から 出典:三省堂 大辞林

つまり、「目上の人を怒らせる」ことをいい、以下のように使うことができます。

「忠告を聞かずに大失敗した結果、父親の逆鱗に触れた」

「主の逆鱗に触れる事を想像すると恐ろしい」

「怒り心頭に発する」の言い方、類義語は使い方に注意

以上、「怒り心頭」の意味と使い方、類義語についてまとめました。

この言葉は「怒り心頭に発する」という言い方で用いられ、「激しく腹を立てること」「怒りが湧き上がること」を表すのです。

また同じようにひどく怒ることについていう語には「激怒」「憤然」「憤怒」「憤慨」「憤懣」「逆鱗」といったものがあります。

「激怒」は激しく怒ることをいい、主に「~に激怒する」といった言い方で使いますが、「憤然」は「激しく怒る様子」をいい、「憤然と~する」(ひどく怒った様子で~する)というように副詞的な使い方で用いられることが多いです。

「憤怒」は「ひどく怒る様子」をいい、「~となり憤怒する」起こった結果についての怒りに使います。

「憤慨」は「抑えきれない怒り」のことをいい、「~されて憤慨した」我慢の限度を超えてしまった場合の表現です。

「憤懣」は「もんもんとした怒り」のことをいい、「憤懣が~」「憤懣を~」というような心元の状態を示します。

「逆鱗」は「目上の人を怒らせる」ことをいい、「~の逆鱗に触れた」というように目上相手の怒りが恐ろしい時に表現される言葉です。

これらの語は同じような意味がありますが、それぞれ微妙に違った使い方をするため、適度な場面で使い分けることができます。

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