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「にわかに」の意味と使い方・例文・類義語は?現役ライターがサクッと解説

「にわかに」(漢字:「俄に」)という言葉は、「にわかには信じがたい」などの形でよく用いられています。

ある物事が急に起こる場合に使われる言葉ですが、具体的にどのような使い方をするのか、また他に近い意味を持つ言葉とはどのような違いがあるのか、疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこでここでは、「にわかに」の意味と使い方、類義語などについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「にわかに」の意味と使い方・例文・類義語

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それでは、「にわかに」の意味と使い方、また類義語などについて説明していきましょう。

「にわかに」の意味は?

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まず、「にわかに」には以下のような意味があります。

物が急に起こるさま。突然。

《否定的表現を伴って》即座には。すぐには。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「にわかに」

つまり、「物事が急に起こる様子」「(にわかに~できないなど後に否定的な語を伴って)その場ですぐには(~できない)」ことを表す語となっています。

「にわかに」の使い方・例文

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次に、「にわかに」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「雨になる前に出掛けようと家を出た途端、にわかに雨が降り出した」

「芥川賞の受賞をきっかけに彼の作品はにわかに注目を集め、瞬く間にベストセラーとなった」

「仕事のことが話題に登ると彼はそれまでの笑顔を一変させ、にわかに表情を曇らせた」

「将来有望と期待されている若手女優が結婚・引退との噂があるが、にわかには信じがたいことだ」

「にわかに」は、上記の例文のように「急にある物事が起こって状況が変化する様子」についていう場合に「にわかに注目を集める」などの形で使われます。

また、後に「~できない」「~し難い」などの否定的な表現を伴って「すぐには~できない」「すぐに~するのは難しい」という意味でも使うことが可能です。

「にわかに」の類義語

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次に、「にわかに」の類義語について見ていきましょう。

この言葉と同じような使い方ができるものには、次のような表現があります。

「突然」

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「突然」には、以下のような意味があります。

物事が不意に起こるさま。急に。にわかに。

出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「突然」

つまり「突然」とは「ある物事が急に起こる様子」のことをいい、以下のように使うことができます。

「突然降り出した雨に、雨宿りがてらカフェに入ってしばらく時間をつぶすことにした」

「考え事をしながら上の空で歩いていたら、突然飛び出してきた子供にぶつかりそうになってしまった」

「不意に」

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次に、「不意」には以下の意味があります。

思いもよらないこと。思いがけないこと。意外。転じて、突然。だしぬけ。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「不意」

つまり「不意に」とは「予想外のことが突然起こること」をいい、以下のように使うことができます。

「彼は『近くまで来たからついでに寄ってみようと思って』と軽い調子で言ってきたが、疎遠になっていた友人の不意の来訪に戸惑いを隠せなかった」

「沈黙を破って不意に笑い出した彼女に、どう反応して良いものか分からず思わず彼女の顔をまじまじと見つめた」

「出し抜けに」

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「出し抜け」には、次のような意味があります。

予期しないことが起こること。また、そのさま。いきなり。唐突。突然。

出典:小学館「出し抜け」①

「出し抜け」とは、「何かが思いがけず起こること」を表す言葉で、相手が油断している隙に行動するようなニュアンスがあります。

「出し抜け」を使った例文は、次の通りです。

「ぼんやり考え事をしながら歩いていたら、出し抜けに声をかけられてびっくりした」

「それまで落ち着いて話し合っていたのに、彼が出し抜けに殴り掛かってきた」

「出し抜けに変なことを言い出さないでくださいよ」

「突如」

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「突如(とつじょ)」には、次のような意味があります。

予想外の物事が前触れもなく急に起こるさま。だしぬけ。突然。

出典:三省堂「突如」

「突如」の「突」は「だしぬけに」「にわかに」、「如」は状態を表す語に添える役割を持つ語で、「突如」で「前触れなく起こること」を表します。

「突如」を使った例文は、次の通りです。

「暗闇の中から突如として怪しげな大男が現れた」

「海外に引っ越して長年音信不通だった友人が、突如帰国した」

「その日、彼は突如として謎の死を遂げた」

「たちまち」

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「たちまち」には、次のような意味があります。

非常に短い時間のうちに動作が行われるさま。すぐ。即刻。

思いがけなく、ある事態が発生するさま。にわかに。急に。

出典:小学館「忽ち」①②

「たちまち」は漢字で「忽ち」と書き、「にわかに」「急に」などの意味を持つ言葉です。

「たちまち」の語源は、立って待っている間に出てくる「立ち待ち月」のことで、「立ち待ち」が時代とともに「忽ち」に変化したと言われています。

「たちまち」の例文は、次の通りです。

「快晴だったのに、たちまち雲が出てきて雨が降り出した」

「開店したと思ったら、商品はたちまち売り切れてしまった」

「いきなり」

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「いきなり」が持つ意味は、次の通りです。

何の前ぶれもなく、突然に物事が起こるさま。ゆきなり。

きちんとした過程を経ずに次の段階に入るさま。直接。じかに。

出典:三省堂「いきなり」

「いきなり」は漢字で書くと「行き成り」で、「何の前触れもなく急に物事が起こるさま」を表します。

本来は「成り行きにまかせる」という意味で使われていましたが、「突然」の意味を持つようになりました。

「いきなり」は、次のような使い方をします。

 

「彼女はいきなり立ち上がって部屋を出て行った」

「いきなり電話してごめんなさい。今、ちょっと話してもいい?」

「やにわに」

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「やにわに」には、次のような意味があります。

その場ですぐ。たちどころに。

いきなり。突然。だしぬけに。

出典:小学館「矢庭に」

「やにわに」は「いきなり」「突然」の意味を持つ言葉です。

漢字で書くと「矢庭に」となり、「矢庭」とは戦場で矢が飛び交う場所、あるいは矢の射程距離のことを表し、そこにいれば突然矢が飛んでくるということから「いきなり」の意味を持つようになりました。

「やにわに」は、次のように使います。

 

「彼はやにわに懐から銃を取り出した」

「男はやにわに飛びかかってきてポケットから財布を奪った」

「おもむろに」の意味は?

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「おもむろに」は誤用されることの多い言葉です。「にわかに」の類語ではないかと思っていた方が多いのではないでしょうか。

「おもむろに」の正しい意味は、次の通りです。

落ち着いて、ゆっくりと事を始めるさま。ゆったりしたさま。

出典:三省堂「徐に」

「おもむろに」は漢字で書くと「徐に」となり、「ゆるやかに」「ゆっくりと」ということを表します。「徐」は音読みすると「ジョ」で、「徐々に」という言葉からもそのスピード感がわかりますね。

つまり「おもむろに」は「にわかに」と似ているどころか、むしろ反対の意味を持つ言葉なのです。

「おもむろに」は次のように使うことができます。

「黙って手紙を読んでいた父が、おもむろに口を開いた」

「話を終えると、彼はおもむろに立ち上がった」

「にわかに」の英語表現

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「にわかに」は英語で表すには、「suddenly」「abruptly」などを使うと良いでしょう。

また、「にわかには信じがたい」の英訳は、「sound far-fetched at first」となります。

 

「にわかに」などを使い分けよう

以上、「にわかに」の意味と使い方、類義語などについてまとめました。

「にわかに」は「ある物事が急に起こる様子」や「すぐには~ない」といった意味を持ち、「にわかに注目を集める」などの形で使われる言葉です。

また近い意味を持つ言葉には「突然」「不意に」などがあり、「突然~する」「不意に表情を変える」のように使われます。

これらの言葉は、「急に何かが起こる」様子を表す場合に使うことができますが、それぞれニュアンスは異なりますので、適切な場面で使えるようにしておきましょう。

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konomianko