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「嘱望」の意味と使い方・例文・言い換え表現・対義語は?日本文学専攻の現役ライターがサクッと解説!

「嘱望」(読み方:「しょくぼう」)という言葉は、「~を嘱望する」などの形でよく用いられます。

将来を期待する優秀な人物についていう時によく使われる言葉ですが、具体的にはどのような使い方をするのか、また似た意味のある「期待」という語とはどのような違いがあるのか、中には疑問を抱く方もいるかもしれません。

そこで、ここでは「嘱望」の意味と使い方・例文・言い換え表現・対義語などを、法律事務所の事務職として、弁護士が作成した文書の校正やマニュアル改訂作業を行った経験を持つ筆者が解説します。

「嘱望」の意味と使い方・例文・言い換え表現・対義語

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「嘱望」は「しょくぼう」と読みます。

読み方が難しいのでぜひここで覚えてくださいね。

また、くちへんのない「属」という字を使って、「属望」と書く場合もあります。

それでは、以下に「嘱望」の意味と使い方・例文・言い換え表現・対義語などをご説明しましょう。

「嘱望」の意味は?

まず、「嘱望」を辞書で引くと以下のように解説されています。

将来や前途にのぞみをかけること。期待すること。

 

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「嘱望・属望」

つまり、「ある人物の将来や行き先がこうなれば良いと望むこと」を表す言葉です。

「嘱望」の成り立ち

「嘱」という字は「たのむ」と読むこともでき、「頼む・ゆだねる」という意味を持つ字です。

「望」は「希望」「展望」という言葉にも使われるように、「遠くを見やる・願う」などを表します。

これらが合わさって、「将来を期待する」という意味になるのですね。

「嘱望」の使い方・例文

次に、「嘱望」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「彼は新卒で入社した時点から幹部候補として将来を嘱望されている逸材だ。」

「彼女は幼い頃から非常に優秀だったので、両親から将来を嘱望されていた。」

「彼は入社時にはあまり周囲から嘱望されていなかったが、入社から数年経ってから頭角を顕し順調に管理職への出世を遂げた。」

「彼は数々の世界的な大会で優秀な成績を残し、将来を担う人材として嘱望される選手だった。」

「嘱望」は、将来を期待する優秀な人物についていう場合などに、上記のように「将来を嘱望する」「将来を嘱望される」などの形で使うことができます。

ほかにもまだある「嘱」を使った熟語

上述のように、「嘱」という字には「頼む・ゆだねる」といった意味があります。
この字を用いた熟語をほかにもいくつかご紹介しましょう。

委嘱

「いしょく」と読み、「特定の仕事(専門性の高い仕事を指す場合が多い)を、一定期間他の人に任せること」を意味する言葉です。

「委」という字も「ゆだねる」と読みますから、同じ意味の漢字が2つ重なって成り立っているのですね。

また、似たような熟語で「委託」というものがあります。

両者は非常に近い語なのですが、

「委嘱」=専門性の高い特定の仕事を、個人に依頼して任せる

「委託」=人や機関に、(本来自分がするべき)仕事を任せる

というニュアンスがあり、「委託」の方がより幅広い意味を含んでいると言えそうです。

「著名な作家に伝記の執筆を委嘱する。」

「マンション管理を外部業者に委託する。」

嘱託

「嘱託(しょくたく)」も「仕事を頼んで任せる」という意味を持ちますが、「正式な雇用関係や任命によらずに、ある業務を依頼すること」を指す場合に多く使われます。

たとえば、ミステリー小説などには「嘱託殺人」という言葉が出てくることがありますが、これは、本人から「自分を殺してくれ」と頼まれて殺すことを指す言葉です。

「定年退職した社員を嘱託職員として再雇用する。」

「嘱望」の言い換え表現

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「嘱望」は、ほかにどんな言葉で言い換えることができるでしょうか。

色々な言い方をすることができますが、一部ご紹介しましょう。

「彼は非常に優秀なので、周囲から嘱望されている。」

「彼は非常に優秀なので、周囲から将来を期待されている。」

「彼は非常に優秀なので、周囲の期待を一身に背負っている。」

「彼は非常に優秀なので、周囲から有望視されている。」

「彼は非常に優秀なので、これからが楽しみな注目株だ。」

「彼は非常に優秀なので、将来が楽しみだ。」

「期待」との違い

「嘱望」の類語の一つとして「期待」がありますが、これらは何か違いがあるのでしょうか。

まず、「期待」には以下の意味があります。

将来その事が実現すればいいと、当てにして待ち設けること。

 

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「期待」

 

「期待」は、「あることが実際に叶えば良いと、心の中で見込みを立てて待つこと」

「嘱望」は、「ある人の将来や先行きに望みを掛けること、期待すること」

を表すという違いがあります。

「彼の将来に期待する」と言えば、「嘱望」と同じ意味になりますので、「期待」の方がより幅広い意味を持っていると言えそうですね。

また、嘱望は名詞ではあるものの、「嘱望する」「嘱望される」といったように、動詞として使われることが圧倒的に多いように思います。

「期待」と「嘱望」の使い方を例文で比較してみましょう。

「期待」:「ようやく予約が取れた人気のレストランは、口コミ評価も高いので、さらに期待が高まる。」
→※「さらに嘱望が高まる」とは言いません。

「嘱望」:「彼は大学卒業後ドラフト1位で球団に入団し将来を嘱望された選手だった。」
(≒「彼は大学卒業後ドラフト1位で球団に入団し、将来を大きく期待された選手だった。」)

 

「嘱望」の対義語

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「嘱望」の反対の意味を持つ言葉は「失望」です。

「望みを失うこと・あてがはずれてがっかりすること」を指します。

「期待に応えてくれると思っていたのに、君には失望させられた。」

「嘱望」の意味を正しく理解して効果的に使おう

以上、「嘱望」の意味と使い方・例文・言い換え表現・対義語などについてまとめました。

この言葉は「将来や先行きに望みをかけること」をいい、将来を期待される優秀な人物についていう場合に「将来を嘱望する」「将来を嘱望される」などの形で使われています。

「嘱」という字自体に「たのむ・委ねる」という意味があり、誰かに仕事を依頼することを「委嘱」「委託」「嘱託」などと言いますが、それぞれ微妙にニュアンスが異なるということでしたね。

「嘱望」の言い換え表現もいくつかご紹介しましたが、まだまだ沢山あるのでご自身で調べてみても面白いかもしれません。

最後に、「嘱望」の対義語として「失望」という言葉もご紹介しました。

日本語は似た意味の言葉でも少しずつニュアンスの異なるものが数々存在し、使い分けるのが難しいですが、それだけに奥深い面白さがあります。

意味を正しく理解して、効果的に使い分けられるようになると良いですね。

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sakura328