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「幾重」の意味と使い方・例文・類義語・言い換え表現は?現役ライターがサクッと解説

「幾重」(読み方:「いくえ」)という言葉は、「幾重にも重なる」「幾重にもお詫び申し上げます」などの形でよく使われています。

物事が重なっている様子に対して用いられる言葉ですが、具体的にはどのような使い方をするのか、また他の言葉で言い換えるにはどうすれば良いのか、疑問を抱くことがあるかもしれません。

そこでここでは、「幾重」の意味と使い方、類義語・言い換え表現などについて、翻訳経験のある現役ライターの筆者が説明していきます。

「幾重」の意味と使い方・例文・類義語・言い換え表現

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それでは、「幾重」の意味と使い方、類義語、言い換え表現などについて説明していきましょう。

「幾重」の意味は?

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まず、「幾重」には以下のような意味があります。

幾つかのかさなり。多くのかさなり。いくじゅう。

出典:広辞苑 第6版(発行所 株式会社岩波書店)「幾重」

つまり「幾重」とは、「いくつかの物事が層を成すような状態で合わさっている状態」「同じようなことがいくつも加わること」を表す言葉です。

「幾重」の使い方・例文

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次に、「幾重」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

この言葉は、たとえば以下のように用いることができます。

「このたびはご注文いただいた製品の納品が遅れ、誠に申し訳ございません。弊社の不手際により貴社にご迷惑をお掛けをいたしましたこと、幾重にもお詫び申し上げます」

「お力添えのお陰で無事に息子の就職が決まりました。ご懇情幾重にもお礼申し上げます」

「石を投げると、水面には波紋が幾重にもなって広がりきれいな円を描いていた」

「並木道の路上には、散った落ち葉が幾重にも重なってまるで絨毯のように通りを覆っていた」

「幾重」は、上記の例文のように、「物事がいくつも重なっていること」を表す場合や「同じことを繰り返してお詫びなどの気持ちを強調して伝える」場合に「幾重にも重なる」「幾重にもお詫び申し上げます」などの形で使うことができます。

「幾重」の言い換え表現

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次に、「幾重」の言い換え表現について見ていきましょう。

「幾重」と言い換えることができる言葉には、

「重ねて」「重ね重ね」「何重にも」

などがあります。

そして「幾重」のように、「あるものがいくつも重なっている様子」や「(後に述べることを強く願う気持ちを込めて)何度も繰り返す」ことをいう場合には、上記の言葉を使って以下のような言い方をすることが可能です。

「重ねて」:「このたびはお問い合わせありがとうございます。また弊社製品のご購入を検討していただいているとのこと、重ねてお礼申し上げます」
(≒「このたびはお問い合わせありがとうございます。また弊社製品のご購入を検討していただいているとのこと、幾重にもお礼申し上げます」)

「重ね重ね」:「ご迷惑をお掛けいたしましたこと、重ね重ねお詫び申し上げます」
(≒「ご迷惑をお掛けいたしましたこと、幾重にもお詫び申し上げます」)

「何重にも」:「割れ物なので気を使ったのか、箱を開けてみると品物は念入りに何重にも包装されていた」
(≒「割れ物なので気を使ったのか、品物は念入りに幾重にも包装して送付されていた」)

「重ねて」「重ね重ね」は「同じことを繰り返して行うこと」「心を込めて何かを繰り返し行うこと」、

「何重にも」は「あるものがいくつも折り重なっている様子」

をいい、「幾重」とほぼ同じような意味合いのことを述べたい時に使うことができます。

「幾重」の類義語

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「幾重」と似た意味を持つ言葉には、他にもあります。その中からいくつか紹介しましょう。

「返す返す」

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「返す返す(かえすがえす)」には、次のような意味があります。

ある動作を繰り返すさま。何度も。重ね重ね。くれぐれも。

過ぎた事を強く悔やむさま。つくづく。

出典:小学館「返す返す」①②

「返す返す」には、「何度も繰り返すさま」「何度考えても」という意味があります。

「返す返すお伝えしてきたことではありますが、最後の人は戸締りを必ずお願いします」

「彼が辞職してしまったのは、返す返すも残念なことだ」

といった使い方をする言葉です。

「くれぐれも」

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「くれぐれも」が持つ意味は、次の通りです。

何度も心をこめて依頼・懇願したり、忠告したりするさま。

何度考えても。かえすがえす。

出典:小学館「呉呉も」

「くれぐれも」は「何度も繰り返し願うさま」「何度考えても」といった意味があります。

語源は「繰れ繰れ」、つまり「繰り返し」にあると言われていますが、他にも諸説あるようです。

「お父様とお母様にも、くれぐれもよろしくお伝えくださいね」

「季節の変わり目となり体調を崩しやすい時期ですので、くれぐれもご自愛くださいませ」

などのように使います。

「再三」

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「再三(さいさん)」には、次のような意味があります。

ある動作が二度も三度も行われること。副詞的にも用いる。たびたび。しばしば。

出典:小学館「再三」

「再三」は「二度三度と繰り返すさま」を表す言葉です。「再三再四」という言葉もありますが、この「再四」は「再三」を強調する語句となります。

例文は、次の通りです。

「弟には再三忠告したにも関わらず、態度を改めようとしない」

「再三にわたりお願いしておりますが、現在もご連絡いただいておりません」

「度々」

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「度々(たびたび)」は、次の意味を持つ言葉です。

何度も繰り返し行われるさま。いくども。しばしば。

出典:小学館「度度」

「度々」は「同じ物事が何度も繰り返されるさま」を表す言葉です。

日常生活やビジネスシーンでもよく使われる表現で、

「度々お手数をおかけして申し訳ございません」

「度々ご連絡くださいましてありがとうございます」

といった形で用いられます。

「重畳」

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「重畳(ちょうじょう)」には、次のような意味があります。

幾重にも重なること。

この上もなく満足なこと。大変喜ばしいこと。感動詞的にも用いる。頂上。

出典:小学館「重畳」

 

「重畳」の「重」も「畳」も「重ねる」ことを表し、「重畳」で「いくつも重なること」の意味になります。

また、かつて畳は高級なものであったことから、「高級なものが重なる」、つまり「この上なく喜ばしいこと」という意味も併せ持つ言葉です。

「重畳」は日常生活ではあまり使われることがなく、「重畳たる山並み」といった形で書き言葉として使われます。

忌み言葉に気をつけよう

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「忌み言葉」とは、結婚式やお葬式など特定の場面で使うのを控えたほうが良いとされる言葉です。

不幸や別れを連想させる言葉など、NGワードにはさまざまなものがありますが、「重ね重ね」「度々」などの重ね言葉も忌み言葉にあたります。その場合は「加えて」「頻繁に」のような表現に言い換えましょう。

また、結婚式では「再婚を連想させる」、お葬式では「不幸が続くことを連想させる」として、「再三」「繰り返し」などの言葉もNGです。

ここで紹介しているような言葉はすべて「忌み言葉」に該当しますので、注意しましょう。

「幾重」の英語表現

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「幾重」を英語で表すには、「layers」「piles」を使って「many layers of~(幾重にも折り重なった~)」などとします。

また、「幾重にもお詫びいたします」という場合には、「Please accept my sincere apologies.」などの表現が良いでしょう。

「幾重」などは適切な場面で使えるようにしておこう

以上、「幾重」の意味と使い方、類義語、言い換え表現などについてまとめました。

この言葉は「いくつもの重なり」を表し、「何かがいくつも重なっている様子」について言う場合や、「あることを願う気持ちを強調してお詫びやお礼を述べる」場合になどに、「幾重にも重なる~」「幾重にもお礼申し上げます」といった形で使うことができます。

また類義語には「重ねて」「重ね重ね」「何重にも」などの言葉があり、「幾重」と置き換えることが可能です。

これらの言葉は同じような使い方をすることができますが、それぞれニュアンスが異なるため、ふさわしい場面で使えるようにしておくことをおすすめします。

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konomianko